再生不良性貧血は山口百恵さんや石原さとみさん主演のテレビドラマ「赤い疑惑」でとりあげられ一般にも認知されるようになりました。
 
山口さんはドラマの中で再生不良性貧血から白血病になる少女を演じています。


 
このことから、再生不良性貧血イコール白血病という誤解もあるようですが、この二つの病は別物です。
 
このコンテンツでは再生不良性貧血についてまとめています。

再生不良性貧血の原因・症状 白血病との違いも

白血病は白血病細胞と呼ばれる異常な血球が増える病気で、再生不良性貧血は血液中の血球(白血球、赤血球、血小板)が減少する病気です。
 
再生不良性貧血は厚生労働省により難病指定を受けています。
 
再生不良性貧血は先天性と後天性の二種類があり、後天性が大部分を占めます。
 
後天性には原因(放射線、ウイルス、薬物など)があって発症する二次性と、原因がよくわからないまま起こる突発性があり、後天性の約70%は突発性です。
 

 
白血球には好中球(細菌を撃退する働きがある)、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球があり、再生不良性貧血ではリンパ球以外の血球が減少していきます。
 
通常骨髄で作られるこれらの血球が生産されなくなるのです。
 
骨髄中には造血幹細胞という未熟な細胞があり、これが血球のもとになります。骨髄中で造血幹細胞が成熟すると赤血球、好中球、血小板になり、血液中に放出されます。
 
各血球の寿命は赤血球が100日、好中球は半日、血小板は約10日ほどですが、健康であれば新しい血球が次々と生産されるので問題はありません。
 
しかし再生不良性貧血ではこれらの血球が補充されないため、さまざまな障害が起きてきます。
 

 
赤血球が減少すると、貧血、めまい、疲労感、頭痛、動悸や息切れなどの症状が現れ、好中球が減少すると細菌感染などを起こしやすくなり、発熱・肺炎を引き起こしてしまいます。
 
血小板が少なくなると出血しやすくなり歯ぐきからの出血、鼻血、皮膚の内出血が起こります。

再生不良性貧血の治療法

以前は「不治の病」でしたが、現代では治療法も進歩しており、重症であっても生存率は高くなっています。
 
治療法としては次のようなものがあります。

1 患者の造血細胞を他人の正常なものと取り換えることで症状の改善を目指す造血幹細胞移植
 
2 骨髄を刺激して病気を改善させるタンパク同化ステロイド療法
 
3 造血幹細胞の働きを阻害している免疫細胞の活動を抑制することで血球の生産を回復させる免疫抑制療法
 

 
1の造血幹細胞移植では、患者と造血幹細胞提供者の白血球の型(HLA)が一致する必要があります。
 
5万人分のHLAがあれば、患者の80%ほどが一致する提供者を見つけることができると言われています。