大塚範一キャスターが急性白血病を発症された件は、大きな衝撃を世間に与えました。
 
このサイトでは、急性白血病についてあまり記事にしていないので、ここで概要をまとめてみます。

◆発症する原因
ウイルス感染、放射線、発がん性薬物などが影響しているのでは?と考えられていますが、はっきりとはわかっていません。
 
「なぜか発症した」というケースがほとんどです。
 
例外として、抗がん薬や放射線などの治療がきっかけで発症する「二次性白血病」があります。
 
 
◆どんな病気?
骨髄や血液中に白血病細胞が異常に増える病気です。白血病細胞とは、成長しきれていない未完成の血球で、「血球の不良品」と言えます。
 
体内に「不良品」が増えると、血液本来の働きができなくなります。
 
急性白血病には骨髄性とリンパ性があります。
 
◆症状
発熱 肺炎などの感染症 鼻や歯茎からの出血 血が止まりにくくなる など。
 
これらの症状から病院に行き、検査を受けたら白血病と判明することも多いようです。
 
急性白血病を治療せず放置していると、数日から数ヶ月で死亡してしまいます。
 
◆治療法
抗ガン剤を使用した化学療法が中心で、場合によっては骨髄移植も行われます。
 

 
治癒率は以下のとおりです。
 
・急性骨髄性白血病の場合
化学療法で20~50%
骨髄移植で40~70%
 
・急性リンパ性白血病の場合
化学療法で15~35%
骨髄移植で45~55%
 
再発した場合は化学療法だけでは治癒は期待できず、骨髄移植を行うことで20~50%の治癒が期待できます。
 
原因が特定されていないため、予防も難しいわけですが、医療は日々進歩しています。近い将来に治療法・予防法が完治されることを期待しましょう。

末期白血病患者が全快 新しいがん治療

2011年の8月、かなりスゴい記事を目にしました。
 
新たな白血病治療法で、末期の白血病患者がわずか28日で全快 がん治療は新たなステージへ
米ペンシルベニア大研究チーム
afpbb.com/article/life-culture/health/2819490/7625533
 
何でも、将来は卵巣がん、肺がん、乳がん、皮膚がんにも応用が可能になるかもしれないとのこと。
 
記事の要点をまとめます。

・最大のキモは、患者から採取したT細胞に遺伝子操作を施し、CD19たんぱく質(がん細胞もこれに含まれる)を発現させる全ての細胞を攻撃するよう改変したこと
 
・他のT細胞とがん細胞が結合した瞬間に、T細胞の増殖を促す改変も行い、副作用を抑えつつがん細胞の早期死滅を促す

 
イメージとしては、遺伝子操作によってT細胞の攻撃力を上げる治療法、と言えそうです。
 
この治療を施された患者の経過をひとつ紹介します。
 
64歳男性 血液と骨髄に3kg分のがん細胞あり

治療後2週間はほぼ何の変化もなし

その後、吐き気、悪寒、高熱を訴えるようになる 
これは改変T細胞の数が増え、がん細胞が死滅する際に表れる症状

治療開始から28日目までにがん細胞は死滅

1年後の検査でもがん細胞は検出されず

 
別の65歳男性患者でも同様の経過が確認され、77歳男性のケースではステロイド処方後わずかにガンが再発したものの、がん細胞の数は治療前よりもはるかに少なかったそうです。
 
3人とも改変T細胞の数が少なくとも1000倍に増加していて、改変T細胞1個あたり、平均数千個のがん細胞を死滅させていました。
 
これは素晴らしい研究ですね。
 
その他のがんへの有効性も調査されるようなので、続報に期待したいところです。