健康に関心があるなら、高血圧を防ぐため「減塩」を意識している人が多数派ではないでしょうか。
 
私もその一人で、血圧がやや高めなため、外食の際は特に「塩分は控えめにしよう」と心がけています。
 
しかし、塩分を制限しすぎるのも、時には悪い影響をもたらすようです。

2011年11月29日の九州スポーツ新聞「医メール情報局」欄に、「塩分”取らなすぎ”で新たな心臓病リスクが」という記事がありました。
 
内容をまとめます。

・「米国高血圧ジャーナル」誌の11月号に、コペンハーゲン大学病院のニールス・グロータル医師らによる研究結果が掲載された
 
・研究チームは、高血圧患者と普通の血圧の人に対して行われた、低ナトリウム食と高ナトリウム食に関する167の研究を検証した
 
・検証の結果、ナトリウム摂取量1日2.8g以下の食事は低血圧を促進した
 
・また、この量だと成人の平均摂取量である一日3.45g以上の食事をした人に比べコレステロールは2.5%、中性脂肪は7%も上昇したことがわかった
 
・つまり、塩の主成分であるナトリウムの摂取量が少ないと、コレステロールや血中の中性脂肪が増加し、心臓病のリスクが上がると考えられる

 
摂取する塩分の量と中性脂肪・コレステロール量がどうして関係するのか、この記事からはわかりません。
 
私もちょっと考えてみましたが、それらしい理由は思いつきませんでした。
 
しかし、とにかく塩分(ナトリウム)を減らす方針では、別のリスクを生んでしまう可能性がある、とは意識しておくべきではないでしょうか。
 
次の記事では、高血圧対策として減塩以外の方針をお知らせします。

カリウム・ナトリウムと高血圧に関する島根大学の実験 食品も

高血圧対策には、減塩以外にも、カリウム摂取が勧められています。
 
血圧を下げるためにカリウムが有効なのは、カリウムを摂取すると、血圧を上げる作用のあるナトリウム(塩分)の排泄が促されるからです。
 
ナトリウム量・カリウム量の比率と血圧の関連について、島根大学医学部の堀江良一助教授が調査を行っています。
 
堀江助教授の研究チームは、島根県の山村に住んでいる約1200人の尿中ナトリウム・カリウムの比率を測定し、血圧との関連を調査しました。
 
その結果、どちらも同量の場合、高血圧の人は3.4%だけでしたが、ナトリウムがカリウムの3倍の場合は16.5%、6倍以上の場合は31.7%も高血圧の人がいたのです。
 
「高血圧予防のためには塩分を控え目に」は現在では常識になっていますが、周知されているほど実際に減塩が実行されているかは、やや心もとないようです。
 
そこで「摂取するナトリウムの量を減らす」よう意識すると同時に、「カリウムを多めに摂取して体内のナトリウムを積極的に排出する」のはどうでしょうか。
 
(といっても、減塩&カリウム摂取にあまりに熱心になり過ぎると、上で紹介したナトリウム不足の弊害が起きるかもしれないので、あくまでホドホドで)
 
カリウムは、以下のように野菜・果物類に多く含まれているのでビタミン類や抗酸化物質も摂取できてお得です。
 
カリウムを多く含む食品としては・・・

リンゴ バナナ アボカド キウイ 干しブドウ トマト ほうれん草 パセリ にんじん 切干大根 インゲン 大豆 小豆 松の実 落花生 さつまいも じゃがいも こんぶ わかめ ひじき

 
といったものがあります。
 
高血圧が気になる場合は、減塩と共に上のような食品を意識して食べてみてはいかがでしょうか。
 
ちなみにカリウムには
 
・筋肉の働きを促進する
・神経系の信号伝達を助ける
 
といった作用もあります。
 
筋肉の働きに関しては、夏に多量に発汗した際、水ばかり飲んでいるとミネラル不足で筋肉のけいれんを引き起こすことがよく知られています。
 
一日あたりのカリウム摂取量目安は男性が2000mg、女性が1600mgです。
 
カリウムは尿で排出されるので、普通に食事でとる分には過剰摂取は心配ありません。