こちらのコンテンツでは、歯科での私のちょっとイヤな経験と、主にインプラント施術における「危険な歯科医師の見分け方」を記事にしています。

今やスタンダードになったインプラント(人工歯根)ですが、利益優先の手術など、多くのトラブルの元にもなっているようです。
 
雑誌「週刊文春」に、「『インプラント』『入れ歯』正しい歯科医の選び方」という特集がありました。
 
この記事を参考に、さらなる補足情報としてトラブルを避けるポイントなどをまとめます。
 
(このコンテンツは雑誌「週刊文春」2017年5/4・11合併号(Amazon)180~183ページを参考にしています)
 
国民生活センターの調べでは、2015年までの5年間で、「痛み」や「腫れ」などインプラント後のトラブルを訴える相談件数が430件に上っています。
 
また日本歯科医学界が2012年に行った、289人の歯科医を対象にした調査でも、60.8%もの歯科医が「治療上のトラブルを経験した」と回答しています。




インプラントのトラブルを防ぐためのポイント

それでは、こうしたトラブルを防ぐためには何を気をつければ良いのでしょうか?
 
誠敬会クリニック会長の吉野敏明歯科医師は、
 
大前提として、インプラントを入れる前に歯周病菌をしっかり除去してくれる歯科医でないといけません」
 
としています。
吉野歯科医師の解説です。

歯周病を治療していない状態でインプラントを入れると、「インプラント周囲炎」になります。
 
歯周病と同様、インプラントを支える骨を溶かしてしまうのですが、これは非常に厄介な病気です。
 
インプラントは人工物なので、天然の歯と違って、インプラント自体には免疫システムがない。
 
つまり歯周病菌に対する免疫がないので、一旦感染するとすぐに悪化してしまい、決して自然治癒することはありません。
 
また人工物で感覚神経もないため自覚症状に乏しく、重症化するまで気が付かないことが多いんです。
 

前述の日本歯科医学会の調べでは、歯科医の経験したトラブルのうち、55.4%が、このインプラント周囲炎に関係していました。
 
インプラント前の歯周病ケアは必須のチェックポイントなのです。

「すぐに抜きましょう」はNG

患者が最も多く経験するのはこのケースではないでしょうか。
 
歯周病はじめ歯の病気は、がんや循環器の病気と違って「一刻を争う」ことはまずありません。
 
よほどの場合でない限り、一ヶ月や二ヶ月で著しく悪化することはないのです。
 

 
なので「ほかのところで意見を聞きたい」とセカンドオピニオンを切り出してみましょう。
 
それであからさまに嫌な顔をして、
 
「その必要はありません。すぐに手術しましょう」
「いまやらないと、どんどん悪化しますよ」

 
などと煽り、「囲い込み」してくる歯科医はNGと判断できます。




激安も危険 信頼できるブランドとは

ほとんどのインプラントでは高額の治療費が必要になります。
 
よほど経済的に余裕がない限り「できるだけ安く」と考えるのは自然なことですが、だからといって「激安!」をうたい文句にしている場合は警戒が必要かもれません。
 
というのも、こうした激安施術では、経費を抑えるために安価な粗悪品のインプラントを使うケースが多いのです。「安かろう悪かろう」というわけですね。
 
信頼できるチタンのブランドとしては、
 
・ブローネマルク
・ストローマン

 
といったスウェーデンのメーカーがあります。こうしたところであれば、トラブルが起きる心配はまずありません。
 
手術を受ける前に、歯科医に「どこのブランドのインプラントですか?」と遠慮せず聞いてみましょう。




全身の状態を把握する歯科医師を選ぶ

インプラント手術では、考慮されるべきは口内だけではありません。
 
顎の骨にドリルで穴を空ける、という手術の性質上、患者には心身両面で負担が大きくなります。
 
特に高血圧の人が術中に極度の不安や緊張を感じると、さらに血圧が上昇して循環器に負荷がかかります。
 
また患者が糖尿病の場合、免疫力が低下しているため術中の傷から感染症にもかかりやすくなります。
 
インプラントにおいては、こうした条件もふまえたうえでの施術が必要なのです。
 
患者の全身状態を把握しようとせず、いきなり手術を始める医師は注意が必要です。
 

インプラント治療後の注意点

インプラント治療後のケアでも、注意すべき点があります。
 
・粒の含まれた歯磨き粉は使わない
インプラントは歯茎との間にどうしても隙間ができやすく、そこに歯磨き粉の粒が入り込むと歯周病菌などのプラークが住み着きやすくなってしまいます。
 
炎症リスクを高めてしまうのです。
 
・必要以上の力でデンタルフロスを使わない
インプラントと歯茎の間には歯根膜などの付着組織がありません。
 
両者の密着度が弱いため、デンタルフロスを過度に強く行うと、歯茎がちぎれてしまうことがあります。
 
インプラント治療は高額の上に、健康を築く土台となる歯を作る手術です。
 
慎重を期し、安易な施術を受けないように注意しましょう。