噛む筋肉は、脳神経のひとつである三叉神経により、脳とダイレクトにつながっています。

噛むことは刺激を直接脳に伝えることになるわけです。刺激により脳細胞が活性化、脳への血流量も増えます。


噛み合わせの矯正が、脳神経系の障害に直接的な効果があることを示す次のような例があります。
 
ある高齢の女性は、夜間はいかい、ヒステリー症状、家族の顔がわからない、などの認知症の症状が出ていました。
 
この女性の口内を調べたところ、総義歯が口にあっておらず、噛み合わせの悪さから脊椎にゆがみが生じていました。
 
そこで噛み合わせを矯正するプレートという器具を装着したところ、家族の顔が判別できるようになり、半年後には夜間はいかいとヒステリーが解消し、脊椎のゆがみも徐々に改善されていったのです。
 

 
同時に長年悩まされてきた肩、膝、腰の痛みも無くなり、ダンス教室に通うほどにまで回復しました。
 
さらにこんな実験もあります。
 
片側の歯が生えてこないよう手術を施されたネズミを、固形飼料で普通に育てます。
 
成長したあと脳細胞を顕微鏡で検査すると、歯がない反対側の脳の発育が遅れていたのです。
 
よく知られているように、右半身の刺激は左脳に、左半身の刺激は右脳に伝わります。よって、左側に歯が無かったとすると、咀嚼の刺激が右脳に伝わらなかったため、脳の発達が遅れたのだと考えられます。
 
咀嚼と脳の密接な関係をよく表した実験と言えないでしょうか。