健康を気にしている人なら、血糖値に無関心な人はいないでしょう。

雑誌「栄養と料理」に、「血糖値をめぐる栄養学ウソ・ホント」という特集がありました。
 
栄養と料理 2015年 12月号81~87ページ)
 
女子栄養大学の本田佳子教授が、血糖値を急激に上げないためにはどうするかを主に解説した記事です。
 
ポイントをまとめて紹介します。

血糖値の上昇を穏やかにするコツ 食前の牛乳や主菜・副菜

私のメルマガでも何度か紹介している
 
「食前に牛乳を飲んで血糖値の上昇がおだやかにする」
 
方法は、本田教授も有効としています。
 
牛乳はたんぱく質が豊富なので、食前に飲むと食後の血糖値上昇がゆるやかになるのです。
 

 
これと関連して、
 
最初に主菜(肉や魚=たんぱく質)や副菜(野菜=食物繊維)を食べる
 
のも効果的とされています。
 
このへんは、すでに常識でしょうか?
 
ちなみに、男性は肉よりも魚を食べるほうが糖尿病の発症リスクを低下させるという報告があるそうです。
 
その魚の中でも、サケやマスなどより、アジ、イワシ、サバ、サンマなど小~中型の魚のほうが発症リスクを下げてくれるのだとか。

三食均等に糖分を抜くのがベター

糖質摂取量を減らす目的で「夕食はご飯を食べない」やり方はかなりメジャーではないでしょうか。
 
しかし、本田教授は
 
「一食で糖質を抜くよりも、三食で均等に抜くほうがよい」
 
としています。
 

 
その他の食事で糖質をとっていると、そこで血糖値が上昇しているので、夕食だけ糖質を控えるとその落差が大きくなってしまいます。
 
三食全体で摂取糖質量を減らしたほうが、血糖値の振れ幅が小さいというわけです。

血糖値上昇を緩やかにするトクホを利用するなら

最近は、難消化デキストリンを含んだトクホ製品も販売されています。
 
難消化デキストリンは、とうもろこしやジャガイモのでんぷんから精製された水溶性食物繊維の一種です。
 
食後の血糖上昇抑制作用だけでなく、中性脂肪値上昇抑制、お腹の調子を整えるといった作用も確認されています。
 
難消化デキストリンを含むトクホ製品も一般的になりましたが、本田教授によると、血糖値上昇抑制作用は
 
食事とともに4~6gを摂取したとき
 
に効果が認められているそうです。空腹時に摂取したり、4g以下の摂取では効果を発揮できません。
 

 
それならたくさんとればいいのかというと、そうではなく、過剰摂取すると下痢を起こすことあります。
 
この成分を含む製品は多く出回っているので、気付かないうちに過剰摂取していることもありえます。
 
あくまで適量をとりましょう。これは食品で摂取する食物繊維でも同様です。
 
そしてもちろん、トクホをとっているからと安心して食べすぎたり、食事内容がおろそかになってはダメです。

「糖質はゼロでも良い」は正しいか?

最近は、「炭水化物(糖質)は全く必要ない!」という主張も目立ちますが、本田教授は懐疑的です。
 
「糖質不要派」の説としては、糖質をとらなくても・・・
 
■たんぱく質から糖質を生成できる
■脂肪を分解してエネルギーとして利用できる
 
というわけですが、これらの代謝の過程では体に大きな負担がかかりますし、「ケトアシドーシス」という危険な状態にもなりえます。
 
本田教授は、炭水化物を控えるにしても、一日の総エネルギーのうちの50%は炭水化物を摂取するべきという考えです。