・前ページはこちら
F走法を練習する際、田中教授が「意識するべきポイント」として挙げているのは次の二点です
・足首を固定し、フォアフットで着地→地面から反発力をダイレクトにもらう
・地面を蹴るのではなく、体重を乗せてプッシュ 素早く脚を前方に振り出す→バネのホッピングを生かす
また、田中教授はF走法を以下のように指導されています。
↓
■その感覚を保ったまま、身体を真っすぐな1本の電柱とイメージし、斜め前に倒す(自然と前進する)
↓
■着地点と胴体と頭が一直線上になり、地面からの反発力をダイレクトに得られ、無理なくF走法になる
これは頭で理解するだけでなく、外に出て実際にやってみないことには身につきません。
細かい注意点を挙げます。
・地面を蹴らず、体重を乗せてプッシュする
・これまでの走り方とは違うため、F走法に体を慣れさせる意識が必要
・ふくらはぎに痛みを感じることがある
・それでも無理しない程度にF走法を続ける(2~3週間)と、体にバネが付くのでほぼ自然にF走法になる
・痛みを感じる間は、走行距離やペースは若干落とす
・大切なのは、意識と根気
F走法は底の薄いシューズだとやりやすいですが、底が厚めでも十分可能です。田中教授も、当初は従来の厚底シューズを履いてF走法で走っていたそうです。
「動作の途中でかかとが着くことに神経質になる必要はなく、『前足部から着地』『地面を蹴らずにプッシュする』という、脚運び全体の流れに意識を置くことが大切」としています。
F走法が身につくと、身体にこんな変化が起きます。
・長距離走っても、ふくらばきのつりや痙攣が少なくなる
・かかと着地の時よりも、正面から見た脚が細くなる
・故障が少なくなる
これからの長距離走大会に出場する方のみならず、「ちょっと走ってみようかな?」と考えている(私はこのクチです)あなたもフォアフット走法をチェックしてみてはいかがでしょうか。
この記事は雑誌「ランナーズ」2011年 12月号36~39ページを参考に作成しました。
※追記
ここまで、フォアフット走法について紹介してきました。
一般ランナーの間でも大きな話題になり、実践する人も増えた(私もそのひとりです)ようですが、ここでちょっとした注意点も紹介しておきます。
関西大学の小田伸午教授は、雑誌ランナーズ 2012年 07月号の「フォームの誤解に要注意」という記事で次のように指摘されています。
ランニングフォームに対する主観と客観では差がある
かかと着地を意識しすぎるあまり、着地期の重心移動がスムーズにいかなかったランナーが、フォアフット走法を意識するようにしたところ、着地期の重心移動がスムーズになる場合があります。
それを体験した人は、かかと着地よりフォアフット着地がいいと推奨します。ただしこの場合も、客観的にはかかとから着地していることがほとんどです。
近年のフォアフット着地の推奨は、主観的なイメージの推奨であって、実際に前足部から着くのが良いという客観的理論ではないと私は考えます。
この記事の要旨を私なりにまとめると、
フォアフットはじめ、フォームを改善するためのイメージはいろいろあるが、実際に試してみて自分に合う・合わないの取捨選択することが大事
ではないかと思います。
また、
自分では何らかのイメージ(前足部から着地する、など)を持って走っていても、客観的に見るとそのイメージ通りのフォームでないことはままある。それでも、フォームが改善しているのであればOK。
ということではないかと。
フォーム改善を意識している方は、小田教授の考え方も参考にしてみてはいかがでしょうか。