このサイトでは、運動の要となる関節として、股関節と肩甲骨を挙げており、その旨の記事をいくつか作っています。
 
といっても、スポーツで「股関節を使う」といっても、いまいちわかりにくくないですか?


 
雑誌「ランナーズ」を読んでいたら、股関節の重要性がわかる特集がありました。オリンピック日本代表のトレーナーを務めた、白木仁筑波大学教授の記事です。
 
白木教授の記事を参考に、その「わかりにくい股関節を使う感覚」を強くするコツをお知らせします。
 
股関節はあらゆるスポーツにおいて「要」となり得る関節ですが、今回は特にランニングと関連付けています。
 
(このコンテンツは雑誌ランナーズ 2015年06月号(Amazon)25~28ページを参考にしています)

白木仁教授 ランニングで股関節を使うには

白木教授によると、ランニングにおいて股関節を上手く使えるようになると、動きに無駄がなくなり、より速く、長く走れるようになるそうです。
 
トップランナーは背筋がまっすぐに伸びて前傾し、頭の高さがほとんど変わりません。
 
これは股関節周辺の筋肉がよく働き、股関節を柔軟に使えているため、体重移動が滑らかなのです。
 

 
逆に、股関節をうまく使えない走りでは、着地ごとに重心が前後左右にぶれて、姿勢が崩れやすくなります。
 
「頑張っているのにスピードが出ず、疲れやすい」走り方になり、ひざ、腰、足首が痛みがちになります。
 
とはいえ大多数の人は、走っている最中に股関節を意識することはほとんどないでしょう。
 
これは白木教授によると、現代人は座ってばかりで、股関節を意識して大きく動かす機会が減っていることが原因なのだそうです。
 
筋肉は動かすことで脳へ刺激が伝わり、神経の回路が形成されます。逆に動かさないと、回路はどんどん退化していきます。
 
マッチョな人が胸の筋肉をピクピクさせられるのも、ベンチプレスなどの筋トレで筋肉を動かすことで神経が通じたからです。

腰割りで股関節周囲の筋感覚を上げる

股関節も、動かすことで回路が強化されるのです。
 
これを白木教授は「筋感覚」という言葉で説明しています。
 
筋感覚が鋭くなると、動かしている筋肉を感じることができて、その筋肉を使って効率的に身体を動かせるようになり、パフォーマンスが高まるのです。
 
それでは、股関節(周囲の)筋感覚を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか?
 
白木教授は、相撲で行われる「腰割り」を勧めています。
 
体重が200kgもある力士が俊敏に動けるのはなぜか?と考えた白木教授が、高砂部屋に出入りして研究した結果、力士の「股を開いて腰を落とした動き(=腰割り)」に秘密があるとわかりました。
 
この動きは膝に負担をかけず、インナーマッスルを含めた股関節の多くの筋肉を使う動作であり、大きな体を動かすには極めて理にかなっているのです。

ランニングに効果的な腰割りの方法

ランニングに効果的な腰割りのやり方は、以下のとおりです。

・脚を広めに開いて立ち、つま先は45~90度外側に開く 膝も外側に向ける(無理はしない)
 
・腕を身体の前で組み、上体は背筋を伸ばし、まっすぐを意識する 
ただし上体が前傾したり、腰が反る、お尻が突き出るといった姿勢は腰に負担がかかるのでNG
 
・その姿勢からゆっくり腰を落とす 床と両脚で長方形ができるくらいまで、5~6秒かけて腰を落としたら、1秒静止してゆっくり戻す。10回繰り返す。

 
腰を深く落とすことで股関節が開き、大体四頭筋が収縮し内転筋群が伸張、大腿二頭筋、大臀筋、梨状筋が収縮する動きが同時に起きます。
 
慣れてくると、股関節が滑らかさを取り戻して、だんだんと深い腰割りが可能になります。
 
身体の中心にある筋肉を動かすので全身の血流も促進され、疲労回復やコンディション管理にも役立ちます。

腰割りがランニングに及ぼす影響

「腰割り」により、具体的にどんな変化が起きるのでしょうか?
 
この動作を習慣にして続けていると、ランニングでも「地面を踏み込めている」感覚が増し、お腹が温かく感じるようになってくるそうです。
 
これは股関節のインナーマッスルが活動して、血流が増えている証拠です。
 
私はランニングをするわけではありませんが、ここしばらく時間を見つけては腰割りをやっています。
 
スクワットの動作なので、太ももの筋肉維持には役立っていますが、正直言いまして、股関節を使っているという実感はまだありません・・・。
 
もうしばらく続けてみます。
 
腰割りは基礎代謝をアップし、血流・リンパの流れも改善するので、女性にもおすすめの動作です。佐伯チズさんも実践していたそうです。
 
男女問わず、トレーニングメニューのひとつに組み込んではいかがでしょうか。

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