体には状況に応じて各臓器、各器官の働きを促したり、抑えたりして対応する仕組みが備わっています。
 
その仕組みのひとつに
 
「ある物質を血液に流し、臓器や器官に情報を伝えて働きを調整する」
 
というものがあります。
 
この仕組みは内分泌系と呼ばれ、「ある物質」がホルモンにあたります。

この「ある物質」=ホルモンがうまく分泌されなくなると体内の各器官の働きに不調が起きることになります。
 
女性ホルモンとしてよく知られているエストロゲンは女性生殖器の発育や機能維持にかかわっています。
 
またエストロゲンは骨の形成や善玉コレステロールを減らすといった作用も持っています。そのため、加齢などによりエストロゲンの分泌が減ると骨量減少や高脂血症などを招くのです。
 
また「成長ホルモン」と呼ばれるホルモンはその名のとおり成長に関っており、
 
・アミノ酸を吸収し、たんぱく質を合成して筋肉を発達させる
・骨端の細胞を分裂・増殖させ、骨の伸長を促す
・炭水化物、たんぱく質、脂質などの代謝を促進する
・体内の脂肪を遊離脂肪酸として放出させる

 
といった働きをするよう、標的となる器官に情報を伝えます。
 
ホルモンを分泌する内分泌器官は体内にいくつもあり、ホルモンは80種類以上(07年現在)発見されています。

DHEA-s ホルモンとは 特徴や効果

ホルモンというと女性ホルモンのエストロゲンや、男性ホルモンのテストステロンなどが有名ですが、最近はDHEA-s というホルモンにも注目が集まっています。
 
DHEA-sは体内の他のホルモンを制御する働きがあります。
 
DHEA-sが最も多く分泌されるのは20歳代で、その後はずっと減少していくので、疫学調査ではDHEA-sを老化の指標として使うそうです。
 
加齢によりDHEA-s量が低下すると、次のような症状をもたらすことがわかっています。
 
不眠 疲労感 気力の低下 肥満 肌荒れ 免疫力低下 脱毛
 
不妊治療を行う際にもDHEA-s の数値を測定し、DHEA-sの量が少ないとサプリメント等で補給することもあります。
 
更年期障害の症状を緩和するためにエストロゲンやテストステロンを補充する治療法があります。
 
DHEA-sも同様に体の不調を改善する治療法に用いられます。
 
DHEA-s を補充するとアンチエイジング作用の他、肥満を防ぐ、糖尿病を改善する、といった効果が期待できるのです。ただし、DHEA-s の補充療法は個人差が大きいと言われています。
 
ホルモン治療は各種医療機関で受けることができ、技術は大変進歩しています。
 
補充法も飲み薬だけでなく、皮膚に貼って使うものや塗って使うタイプもあります。