日ごろから何となくつきまとっている「疲れ」。生活の質をアップするキモは、この疲れをいかに解消するかにかかっているといっても過言ではありません。
疲れ解消のキーとなる栄養素にビタミンB群があります。
活動するためのエネルギーをつくるのに必要なので、B群は別名「疲労回復ビタミン」と呼ばれています。激しい運動などをすると多く消費されるわけです。
働きを大雑把にまとめると、ビタミンB1は糖質を、B2は脂質を、B6はたんぱく質をエネルギーに変える働きがあります。
これは、「糖質・脂質をたくさん摂ったらB群も多く消費する」とも言えます。なので、清涼飲料水やお酒、スナック菓子を多量に摂るときは注意しなければいけません。
これらの食品は糖質・脂質が主で、ビタミン類はほとんど含まれていません。ということはビタミンB群を消費する一方なわけです。

いわゆる「まるごと食」などであれば、糖・脂質と同時にビタミン等も補給できるケースが多いのですが、ジュースやお酒、スナック菓子ではそうはいきません。
これらの食品ばかり食べていると身体を動かす気がしなくなる、というのは当然なのです。
さらに、ビタミンBは神経の疲れにも大きくかかわっています。特にビタミンB1は神経の機能が正常に働くために重要です。ストレスを感じた時は、不足しないようにしましょう。
「ストレス解消のために栄養を摂る」(ヤケ食いじゃありませんよ)という心がけは意外と忘れがちではないでしょうか。
ビタミンB群はそれぞれ単独でなく、B1、2、6などを合わせて一緒に摂った方がお互い助け合い、より効果的に働きます。
B群は豚肉、大豆、いわし、レバーなどに多く含まれています。B群は水溶性なので、水や熱に弱く調理の際に失われやすいという特徴があります(加熱調理で30~50%失われるそうです)。
尿や汗としても排出されるので、体内にためておくことができません。毎日、絶えず摂取補給していなければすぐ不足がちになります。
身体や心に疲れがたまると、免疫力も低下します。カゼなどもひきやすくなってしまうので、カゼ対策→ビタミンCだけでなく、ビタミンB群も頭に入れておいてください。
各種ビタミンB群の特徴をまとめます。
ビタミンB群の性質などまとめ
これまで紹介したように、ビタミンB群は体調を整えるのに欠かせない栄養素です。
性質や特徴を理解して不足しないよう心がけましょう。
◆全般的な特徴
水溶性である 「補酵素」として働き、体の様々な代謝に関わる 水溶性のため、過剰摂取の危険性は無い(ただし、例外もあり 下記参照)
・ビタミンB1
熱とアルカリ性に弱い 糖質がエネルギーに代わる際に働く 不足すると、体がだるく、疲労感が抜けなくなる 動物性食品に多い
・ビタミンB2
熱には強いが、アルカリには弱い 脂質のエネルギー代謝はじめ、多くの(100以上とも)代謝活動に関わる ビタミンAとともに、皮膚や粘膜に作用するため、不足すると口内炎や口角炎、眼精疲労などを発症する 体内の腸内細菌によっても合成されるビタミンなので欠乏しにくい
・ビタミンB6
熱・アルカリに強い たんぱく質の代謝や神経伝達に関わる 不足すると目や口の周りの皮膚炎、肌荒れ、精神の不安定などが起きやすくなる B2と同様、腸内細菌によっても合成されるため欠乏しにくい
(大量に、しかも長期間摂取すると発症神経の痛みやしびれなどの過剰症が起きるとの報告あり)
・ビタミンB12
熱・アルカリに強い 赤血球の生成、神経細胞の修復を行う 不足すると貧血やどうき、めまい、肩こり、神経痛などを発症する B12も腸内細菌で合成される
・ナイアシン(ビタミンB3)
熱にもアルカリにも強い 糖質・脂質・タンパクの代謝およびアルコールの分解に関わる 不足すると肌荒れ、口内炎、神経の障害などをひきおこす
・パントテン酸(ビタミンB5)
熱・アルカリ・酸に弱い コレステロールおよびホルモンの合成や、脂肪、たんぱく質、炭水化物の代謝に関わっている 不足すると疲れやストレスを感じやすくなり、髪の毛や肌が荒れてしまう
ちなみにパントテン酸の語源は「広くどこにでもある」という意味で、普通の食事をしていれば不足することはあまりない
・ビオチン(ビタミンH ビタミンB7)
熱、光、酸に強いが、アルカリに弱い(ただし、熱に弱いとする情報もあり) 不足すると脱毛など髪の毛のトラブルが増え、肌荒れも起きる また湿疹などの皮膚症状、粘膜の異常を発症する可能性も
ビオチンは穀物や肉類など多くの食品に含まれており、腸内でも生産されるため欠乏はあまりない ただし、抗生物質を長期間服用していると欠乏症を起こすケースがある
・葉酸(ビタミンM)
熱に弱い DNA内の核酸や赤血球の合成を助ける 胎児の正常な発育にも欠かせない 欠乏すると貧血が起きやすい 特に妊娠したばかりの女性に不足すると胎児に神経障害が起き、最悪の場合は胎児が死亡する
妊娠初期の女性が十分に摂取することで胎児の神経障害リスクを減らす 大量に飲酒すると葉酸の吸収が妨げられる