日本における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者数は、およそ200万人とされています。

SASは睡眠中に呼吸が停止する症状です。
 
夜間の眠りが浅くなるため、昼間に猛烈な眠気を感じたり、集中力が低下したりします。

「無呼吸・低呼吸」指数と睡眠時無呼吸症候群の定義

肥満体で、睡眠中にいびきをかいていると睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなります。
 
「無呼吸」とは、口・鼻の気流が10秒以上停止することを指します。
 
「低呼吸」というのは「換気量が50%以上低下し、その状態が10秒以上持続すること」を指します。この二つが一時間に起きる回数を「無呼吸・低呼吸指数」といいます。
 

 
米国睡眠医学会の定義では、この無呼吸・低呼吸指数が5以上で、かつ日中の眠気などの症状が伴う場合を睡眠時無呼吸症候群と呼んでいます。
 
大相撲の力士には睡眠時無呼吸症候群が多いことがわかっています。職業柄仕方ないのですが、集中力を欠くなどして成績不振の原因になることもあります。
 
日本人は体型の関係から肥満でなくても睡眠時無呼吸症候群になりやすいことがわかっています。




睡眠時無呼吸症候群のチェック項目 昼間の眠気

夏の熱帯夜の翌日などであれば、昼に眠気を感じることがありますが、昼の眠気を一年中感じる、ということはないでしょうか?
 
もしそうなら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあります。
 

 
昼間どの程度眠くなるかをチェックすることで、SASかどうかを判断する「エスワープの眠気テスト」というテストがあります。
 
以下にまとめます。

このテストでは次の基準と点数を用います。
 
・眠くならない・・・0点
・まれに眠くなる・・・1点
・しばしば眠くなる・・・2点
・よく眠くなる・・・3点
 
以下に挙げる8項目を、上記の点数でチェックして下さい。
 
・座って読書をしている時
・テレビを見ている時
・劇場など公の場で、座って何もしていない時
・1時間続けて車に乗せてもらっている時
 
・午後、横になって休息している時
・座って誰かと話をしている時
・昼食後(酒類は飲まずに)静かに座っている時
・車中、交通渋滞で2~3分止まっている時
 
点数の合計が11点以上の場合には、日中の眠気が強いことが考えられ、SASが疑われます。

 
SASかも?と感じたら医師に相談して適宜治療を受けましょう。




SAS治療法CPAP 日本では認知不足

SASは時に重大な事故の原因になりえるのですが、代表的な治療法であるCPAP(鼻マスクにエアチューブを通し、空気の圧力で気道の閉塞を防ぐ)を受けている人は、日本ではわずか5~6万人と言われています。
 
アメリカで同治療を受けている人は100万人を超えているので、日本でももっと周知されるべきです。
 

 
長距離トラックや、新幹線などの長距離鉄道を運転する人が睡眠時無呼吸症候群の場合、仕事中に眠気を催して居眠り運転になり、大事故の原因となります。
 
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、減量するか、マウスピース療法などの対処を施します。
 
最終手段としては外科的に気道を広げる手術もあります。SASは耳鼻咽喉科、呼吸器科などで受けられます。




睡眠時無呼吸症候群と心臓病リスク

睡眠時無呼吸症候群(SAS)でいびきをかく人は、心臓病リスクが最大で5倍になるそうです。
 
いびきをかく平均年齢49歳の男性308人を7年間にわたり調査したところ、閉塞型SAS(OSA)患者105人のうち、16.25%に心疾患が見つかりました。
 
一方でOSAがなかった203人の心疾患は5.4%にとどまりました。
 

 
注意すべきなのは、OSAの治療が不十分なグループ(65人)では心疾患の発症率が24.6%にはね上がることです。
 
上の記事で紹介したように、日本では治療する人が極端に少ないことがわかっています。
 
いびきをかく男性は、睡眠時無呼吸症候群および治療にも留意しましょう。
 
大事故を起こすリスクを考えれば、自分のみならず他の人の命にも関わる症状なのです。病気を理解し、治療を施すよう心がけるのは当然と言えるでしょう。