脳梗塞の治療では、リハビリなどまで含めた費用が130~140万円かかります。
 
自己負担分はその3割なので40万円ちょっと、ということになります。
 
治療後も血栓防止剤や血圧をコントロールする薬などで月に約3000円、血液検査(3ヶ月に1回ほどの間隔で行う)の自己負担分も3000円ほどかかります。

治療から半年ほどで検診で脳の画像を撮影するのでこの検診費が1回に約1万円です。治療費のための融資制度もあります。
 
女性医師
 
脳梗塞は夏と冬に多く、夜間から起床時間にかけて発症しやすくなります。これは睡眠中に脱水症状になるため、血液の粘度が上がるからです。
 
脳梗塞は急激な発症がありますが、よく気をつけていると「前ぶれ」となる症状を感じることもあります。
 
この前ぶれとしてはめまい、ふらつき、ろれつが回らなくなる、しびれ、視野が狭くなるといった症状があり、短時間で回復することがほとんです。
 
これは「隠れ脳梗塞」が原因となっていることがあります。
 
「隠れ脳梗塞」とはいわば症状の軽い、マイルドな脳梗塞で、ごく微小な梗塞が脳内の血管に発生しています。
 
隠れ脳梗塞によるめまいなどの症状は短時間で回復するとはいえ、隠れ脳梗塞を発症すると約3割が脳梗塞の発作を起こすといわれています。
 
隠れ脳梗塞は「非常に重篤な症状の前ぶれ」と考えるべきなのです。喫煙習慣がある場合は特に注意が必要です。

バーチャルリアリティを脳梗塞のリハビリに活用

バーチャルリアリティ(VR)という言葉はかなり昔からありますが、身近に体験できるようになったのは近年になってからです。
 
対して医療の現場では、いまから10年以上も前にVRが使われていました。
 
脳卒中専門誌「Stroke」の06年5月号には、テレビゲームを使ったバーチャルリアリティー体験が脳梗塞患者の運動機能を改善すると発表されています。
 
アメリカで行われた実験結果からわかりました。
 
慢性脳梗塞患者10人をテレビゲームのバーチャル体験派と、何もしないグループに5人ずつに分け、バーチャルリアリティー体験派は1日1時間、週5日の体験を1ヶ月以上続けました。
 
その結果、テレビゲーム体験派はバランスや歩行に進歩が見られ、脳機能の改善も見られました。
 
個人的な意見ですが、これらのバーチャル体験は非常にリアルなものだったのではないでしょうか。10年以上前の話とはいえ、ゲーム画像のリアルさはかなり進歩していました。
 
まるで映画か実写のような映像を再現しているものは珍しくなかったのです。
 
こういった映像でゲームをすると、あたかも実際に体験していると脳が勘違いし、運動機能や脳機能が改善しても不思議ではありません。
 
バーチャルゲームで機能を改善する方法が確立されれば、ひとつの治療法として期待できるのではないでしょうか。
 
各種イベントなどでVR体験をする機会も増えていますが、実際にやってみた人からは「酔う」という感想を聞くことが多いようです。
 
こうした欠点が改善されれば、リハビリ手段としてのバーチャルリアリティも開発されるのではないでしょうか。