職業によって、認知症になりやすい、なりにくいの違いはあるのでしょうか?
 
まず、認知症になりやすいと判明している職業にボクシングがあります。
 
以前「拳闘家痴呆」という言葉があったように、ボクサーの脳には、βアミロイドが神経細胞の中に蓄積したり、細胞の外にたまる老人斑がみられます。
 
絶えず頭を強打されることで、ボクサーの脳は若いうちからアルツハイマー型認知症と同じ変化が起きているのです。

そのほかの職業では発症率に差はないようです。家庭内労働者、工場勤務者、事務職、管理職の4つを比べた調査では違いが見られませんでした。
 
逆に、熟練技術を持つ職人は認知症になっても進行が遅いという調査結果があります。
 
また、本や新聞を読むなど知的活動の頻度が高いほど認知症の発症率が低いことがわかっています。
 
手先を使い、身体を動かし、生涯楽しめる趣味を持ち、周りの人とのコミュニケーションを積極的にとることは脳の活動を活発にします。
 
脳機能を衰えさせないための方法として、私は料理に注目しています。料理は視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚と五感の全てを刺激します。
 
こういった作業は料理以外にはあまり無く、脳を活性化するにはもってこいだと思うのです。
 
料理になじみの無い年配の男性でも厨房に入るのはいくつかのメリットがあるのではないでしょうか。

認知症を防ぐために鍛えたい脳の三つの機能 栗原毅医師

高齢化社会の到来で、お年寄りの認知症を防ぐにはどうするか?が話題になっています。
 
栗原クリニックの院長で、慶應義塾大学教授の栗原毅医師は、認知症を防ぐために鍛えたい脳の機能を三つ挙げています。
 
まずひとつ目は「計画力」です。段取りを考えて何らかの目標を達成する能力です。 将棋や囲碁、麻雀、旅行などの趣味で鍛えることができます。
 
次に、同時にいくつかのことを行う「注意分割力」です。複数の家事を同時進行させて効率良くこなしたり、相手の気持ちを考えながら会話を進めることで強化することができるそうです。
 
三つ目は「エピソード記憶力」です。これは個人的なエピソードを思い出す力で、この機能を鍛える方法として栗原医師は
 
・二日前の出来事を日記に書いてみる
・レシートを見ずに家計簿をつける
 
の二つを挙げています。
 
「料理が脳に良い」と言われるのも、
 
新しい献立の段取りを考える・・・計画力
複数の調理行程を同時に行う・・・注意分割力
材料費やレシピを後から思い出す・・・エピソード記憶力

 
と、栗原医師が主張する三つの機能を全て鍛えることができるから、とも考えられます。
 
「認知症を防ぐためには」というと何となく仰々しく聞こえますが、日常生活でのちょっとした工夫と心がけで脳の機能を維持する助けになりそうです。