雑誌「週刊文春」の連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」で、脳科学者・中野信子さんと阿川さんの対談記事がありました。

今回はその中から、私がへぇーと思った内容を二つ紹介します。
 
これまで聞いていた”右脳・左脳の違い”は間違っていたかも?
 
(このコンテンツは雑誌週刊文春2017年2/16号(Amazon)116~120ページを参考にしています)

右脳・左脳の働きは解像度の差「大雑把」と「細かい」

「右脳は感情を、左脳は理性を司る」とは、常識のように語られていますよね?
 
当サイトでも右脳はイメージや絵、空間認識、対して左脳は理論や言葉、数字を処理する、といった内容を記事にしています。(関連記事をご覧ください)
 
「芸術家は右脳が発達している」なんてことも言われます。
 
バイオリンを弾く女性
 
しかし中野さんによると、これはどうも間違った見解のようなのです。
 
ファンクショナルMRIという機械を使った最新の研究によると、脳の右・左は
 
・右脳は解像度の低いところを見る
・左脳は解像度の高いところを見る

 
という違いがあることがわかりました。
 
言い換えると、
 
右脳はモノをぼんやり、大ざっぱに認識する
 
のに対し、
 
左脳は細かいところを認識する
 
のであり、右脳が芸術家肌、左脳が理性派とは必ずしも言い切れないのです。
 

 
アルファベットの「A」をたくさん集めて「H」の形を作ります。これを右脳、左脳それぞれに損傷がある人に見せると、
 
右脳を損傷している人(=大まかな形が見えず、細かいところしか見えない)
→Aのみを認識し、Hの形はわからない
 
左脳を損傷している人(=細かいところが見えず、大まかな形のみ見える)
→Hの形はわかるが、それがAの集まりであることはわからない
 
という認識の差が表れるのだそうです。
 
脳の右・左の違いは、「大まかなこと(細かいこと)がとらえられるかどうか」くらいに考えておくべきかもしれません。
 
そもそも、どの程度を「芸術家肌」「理性的」と呼ぶのか、その基準も極めて曖昧ですもんね。

認知症になりにくい人の習慣3つ

中野さんの話をもうひとつ。
 
現在アルツハイマーを魔法のように一気に解決できる薬は開発されていません。
 
しかし中野さんによると、認知症になりにくい人の習慣が三つあることは判明しています。
 
その三つとは・・・
 
1 コミュニケーションをよくとること
脳で生まれた細胞をより長く生き延びさせることに貢献する
 
2 歩くこと
脳に血液を送るのに効果的
 
3 動物性脂肪をとる頻度が少ないこと
 
です。
 

 
1と2は、このサイトで何度か知らせしたご長寿さんの特徴にピッタリです。
 
認知症対策をまとめるなら、「しゃべって歩いて、動物性脂肪は控えめに」というところでしょうか。
 
ちなみに、ネットの掲示板やSNSなど匿名性の高い場で、他者への汚い罵詈雑言を書き込む人っていますよね。
 
普段はそんなことは全く言わないのに、匿名になると悪魔のように豹変することを心理学では「ルシファーエフェクト」というそうです。

  • Amazon中野信子さんの本
  • 脳の闇
    ※試し読み・kindle版あります