頭蓋骨内の脳は脳脊髄液(略して髄液)に浮かんだ状態で安定しており、それによって柔らかい脳・脊髄が保護されています。
脳脊髄液減少症はこの髄液が何らかの原因で漏れ出し、浮かんでいる脳が沈んでしまう病気です。
頭痛やめまい、不眠、首の痛みなどの症状が出ますが、首の捻挫やうつ病など全く別の病気と診断されることも多いようです。
学生に発症した場合、「怠けている」「精神的な不調」と考えられることもあります。
以前はほとんど無名の病気でしたが、最近は認知度が上がっています。
発症のメカニズムはよくわかっていませんが、スポーツをする人に多いため、スポーツ活動との関連は強いと考えられています。
診断には、放射性同位元素(RI)を腰椎から注入して診断するRI 脳槽シンチグラフィや頭部MRIといった手段が使われます。
ただし、MRIでは脳脊髄液減少症による異常を発見できないこともあります。
治療では、まず生理食塩水の点滴が行われます。
一週間ほど継続しても症状の改善が見られない場合は「ブラッド・パッチ」という方法をとります。
これは硬膜下に自分の血液を入れ、髄液が漏れている部分に血液を詰まらせて固める治療法です。
脳脊髄液減少症は、管理人の地元熊本でも増えてており、中高生の患者も確認されています。
部活動などでスポーツをしている子供が突然頭痛やめまいに襲われ、カゼとも思えない場合などは神経内科などの医療機関を受診してみましょう。