現在はご当地マラソンはじめ、市民アスリートが参加する大会が各地で開催されています。
管理人の地元熊本でも2月に熊本マラソンを開催しています。
市民ランナーやアスリートが増えるのは結構なことですが、一方で競技中の事故も増えており、不幸にも命を落とすケースも出ています。(マラソンではゴール直前に倒れるランナーが多いそうです。)
こうした事故を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?
ダーレオーエン選手急死 死因と得られる教訓
2012年の4月30日、競泳のアレクサンドル・ダーレオーエン選手が突然亡くなりました。ライバルを失った北島康介選手が大変悲しんでいました。
雑誌トレーニング・ジャーナル2012年10月号(Amazon)に、循環器の専門医、真鍋知宏医師の「ダーレオーエン選手の事例に学ぶ」との記事がありました。
ダーレオーエン選手(以下 ダ選手)の解剖結果によると、心臓表面の冠動脈に重い動脈硬化があったそうです。
心臓をとりまく冠動脈が一気に詰まることで心臓を機能を失ったか、あるいは正常なリズムで収縮できない心室細動を起こしたと考えられます。
しかしダ選手は当時26歳であり、この若さで動脈硬化を起こすとは通常ではありえません。
そのため真鍋医師は、
家族性の高コレステロール血症があったのではないか
と推測されています。ダ選手の祖父も46歳で急逝しているのです。
他にも、次のようなことが分かっています。
■ダ選手は高地トレーニングを行っていて、血液の濃度が高くなる環境にはあったが、今回のケースはそれが梗塞の原因とは考えられていない
不幸なことに、ダ選手はシャワールームで倒れたため、周囲に人がいませんでした。
誰かが近くにいて、AEDなどによる適切な処置が施されていれば、命は助かった可能性が高いと考えられます。
自分と他者を助けるために
自分の体調不良およびその兆候を発見するのは、なんといっても健康診断です。
特に運動をしていない人でも、自主的に、あるいは会社で健康診断を受ける人が最近は多くなっています。
もしもあなたがマラソンなどの競技をやっているのであれば、
「マラソン(その他の競技)をやっている」
「循環器系の病気を発症した家族がいる」
「走った後ちょっと不調を感じる」
といったことを健康診断の際に相談してはいかがでしょうか。
真鍋医師は次の点を強調されています。
■家族に循環器系の病気があるかどうかをチェックする
■血液検査 心電図検査 胸部レントゲンは特に注意し、必要に応じて精密検査を追加する
■何らかの症状があったら、医療スタップやトレーニングスタッフに積極的に伝える
漠然とした「気持ち悪い」という程度の感覚でも、普段と違うのであれば注意する必要があります。
「気持ち悪い」と救急搬送された人の心電図をとってみると急性心筋梗塞だったというケースを真鍋医師は何度も目の当たりにしているそうです。
まとめ 救命措置の習得など
残念ながら、どんなに事前に検査を行っても、事故を完全に防止することはできません。
誰にでも、どこでも起こりえる事故と考えることが重要です。
そのため、心臓マッサージを中心とした一時救命処置(BLS)とAEDの扱い方を一般アスリートも習得しておくのが理想的です。
技術を習得していれば、一緒に走っている仲間を助けられるかもしれません。いつものランニングコースで出会う人の命を救う可能性だってあります。
一般アスリートの事故を防ぐための結論をまとめます。
■定期的に健康診断を行う その際、行っている競技の特性や家系の要因なども考慮する
■救命措置やAED操作法などを習得する
自分の体と他人の体を守る意識があれば、アスリート全体の事故は多く減らせるはずです。
アスリートの事故を防ぐには 終わり