アルツハイマー病に見られる脳の萎縮は、「アミロイドベータ」というタンパクが脳内で増えて、脳神経細胞の活動を阻害することで起こります。
 
このアミロイドベータを除去できれば、脳神経細胞は死滅しないということになります。
 
そのためにはこのタンパク質の抗体を体内で作る必要があります。

そこでアメリカで始められたのが「アルツハイマーのワクチン療法」です。この療法は、アルツハイマーの原因タンパクをわざと体内に送り込み、体内で抗体を作らせるというもの。
(この記事は2007年に作成しました)
 
米国で約300人のアルツハイマー病患者がワクチン療法を受けた結果、多くの患者の老人斑(アルツハイマー病患者の脳にある黒いシミ)が消え、認知能力も上昇しました。
 
しかし免疫細胞が働きすぎた結果、患者の6%脳の炎症が生じるという問題点も見つかっています。
 
現在アルツハイマー病の治療では、アリセプトなどを用いて神経伝達物質を補充する薬物療法が主流になっています。このワクチン療法が確立すれば、治療だけでなく予防にも応用できる可能性もあります。
 
注目を集めているワクチン療法ですが、アルツハイマーの原因はアミロイドベータだけではないため、ワクチンだけではアルツハイマー対策としては不十分という主張もあります。
 
とはいえ、ワクチン療法がひとつの突破口となる可能性を持っているのは間違いないようです。続報に注目したいものです。

噛み合わせとアミロイドベータ

アミロイドベータといえば、こんな記事がありました。
 
アルツハイマー 歯にご用心 かみ合わせ悪いと原因物質増加
sankei.jp.msn.com/life/news/110916/bdy11091607420001-n1.htm
(現在この記事は削除されています)
 
歯の噛み合わせが悪いと、脳内にアミロイドベータが増えるのだそうです。
 
アミロイドベータはたんぱく質の一種で、神経細胞に対して毒性があります。
 
脳内の海馬にアミロイドベータが蓄積すると神経細胞が死滅し、記憶障害を起こします。アミロイドベータはアルツハイマー病の原因とされています。
 
この研究結果を発表した岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授のチームは
 
「歯が抜けたり、入れ歯が合わなかったりする人は、治療をすることでアルツハイマー病の予防や進行を抑えられる可能性がある」
 
としています。
 
健康な歯を保つことは、アルツハイマーに限らず全身の健康に大きく関わります。
 
虫歯や歯周病を防ぐといった口内ケアは、栄養摂取や適度な運動と同じくらい健康維持のために重要です。