ヘリコバクター・ピロリ菌(いわゆるピロリ菌)は、健康トピックに関心のある人だけでなく一般にも広く認知されるようになりました。
 
ピロリ菌というと、
 
胃炎 胃潰瘍 胃がん 十二指腸潰瘍
 
の危険因子であることもよく知られています。

ところがこうした病気だけでなく、ピロリ菌はその他様々な病気のリスクを上げるとの指摘も多くなっています。
 
具体的には、こうした病気が挙げられています。

・血管疾患・・・脳血管障害 虚血性心疾患
 
・神経疾患・・・認知症
 
・呼吸器疾患・・・肺がん 肺結核
 
・自己免疫疾患・・・関節リウマチ シェーグレン症候群
 
・生活習慣病・・・糖尿病

 
ピロリ菌はかなり広範な病気リスクになりうるといえそうです。「ピロリ菌は万病のもと」なんて主張もあります。
 
これらの病気リスクをピロリ菌がどの程度上げるか、などのはっきりしたことはわかっていません。それでも気になるのは確かなので、何らかの対処をしたいところです。
 
対処法としてはまず、ピロリ菌を抑える効果を持つ食品を摂取します。
 
ピロリ菌抑制効果を持つヨーグルトが市販されていますし、私の場合はココアを欠かさず飲むようにしています。ココアはピロリ菌の活動を抑える作用がとても強いのです。
 
徹底的に除菌したい、という場合は消化器内科などで除菌治療を受ける手もあります。
 
治療は一週間ほど薬を服用するだけなのでかなり手軽にできますが、薬の副作用として下痢などを起こすことがあります。(こうした副作用は軽度のものです)
 
「ピロリ菌を完全に除去してしまうのも良くない」という主張もありますが、病気リスクが心配であれば日頃からピロリ菌抑制食品などを利用してみてはいかがでしょうか。

ピロリ菌・胃がんに関する雑学 ココアや塩分と冷蔵庫

このコンテンツでは「ボケずに長生きできる脳の話 天野惠市著」から、ピロリ菌と胃がんに関する雑学的話題を二つ紹介します。
 
ココアのピロリ菌抑制作用はよく知られています。
 
ピロリ菌を保有している胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者でも、ココアを10日間飲むと、およそ60%のピロリ菌が除去されるそうです。
 
ピロリ菌の殺菌作用を発揮しているのは、ココアに含まれているオレイン酸やリノール酸と考えられています。
 
しかし、オレイン酸やリノール酸は、オリーブオイルなど他の食品にも含まれていますが、オリーブオイルにピロリ菌除去効果がある、という話は聞きません。
 
ココアのオレイン酸やリノール酸にだけ見られる効果なのです。なぜココアだけなのかは、よくわかっていません。
 
もうひとつ、塩分と胃がんに関連して、「電気冷蔵庫が胃がんを減らした」話を。
 
アメリカでも、以前は胃がんが多かったそうです。冷蔵庫が無かった時代は、塩漬けで保存された肉を食べていたからです。必然的に食事での塩分量が増え、胃がんも増加しました。
 
塩分を摂り過ぎは、胃がんを招きます。ところが冷蔵庫が普及し、肉を塩漬けにする必要がなくなると、胃がんは劇的に少なくなりました。
 
塩分と胃がんの関係を表すよい例ではないでしょうか。
 
(この記事は「ボケずに長生きできる脳の話」80~81ページを参考にしました)