下でも触れていますが、管理人は夜勤の経験があります。

夜から朝までの仕事はしばらくすれば体が慣れるのですが、なんとなく「体には悪そう」という実感がありました。
 
このコンテンツでは夜の活動や体内時計についてまとめています。

夜の仕事 健康への影響

日勤と夜勤を交互にこなす勤務は体に良くないという報告が、イギリスの科学雑誌ニューサイエンティストに掲載されました。(2006年)
 
海底油田の労働者で夜勤を一週間続けた後に日勤を一週間した人と、夜勤か日勤の一方を2週間続けた人とで、尿や血液のデータを比較しました。
 
その結果、夜勤と日勤の両方で勤務した人は食後の血液中の脂肪酸がより多く、心臓疾患や糖尿病になる危険度が高いことがわかりました。
 
睡眠を制御するホルモンの分泌リズムが乱れることも、健康に悪影響を及ぼす一因になっているようです。
 
ちなみに米スリーマイル島の原子力発電所事故、スペースシャトル「チャレンジャー」の打ち上げ失敗、そして日本の山陽新幹線居眠り運転事故、これらの事故に共通しているのは職場が交代制勤務だということです。
 
 
私も以前某大手車メーカーのライン工場で交代勤務をしたことがあります。昼勤一週間、夜勤一週間の交代シフトでした。
 
夜勤は慣れるまでが非常に辛く、あまりの眠さに、作業しながら立ったまま寝てしまうことが二回ありました。(ホントですよ!)
 
1ヵ月ほど過ぎた頃には体が慣れましたが、「体がなんとなく辛い」状態はずっと続いたように思います。
 
これといって自覚症状みたいなものは無いのですが、夜勤が長く続くと「何かヤバいもの」が体に溜まっていく感じがするのです。(下に関連記事を書いています)
 
人間は本来、昼間に活動する動物なので、夜働くのは生理的にムリのあることではないかと思ったものです。
 
現代は夜間働く人もたくさんいます。夜働く生活をする場合は、昼働く人よりも、自分の健康に気を配る意識が必要ではないかと感じます。

深夜の仕事は発ガン要因?

「交代制などの仕事で深夜勤務することはガン発症の原因である」と分類されるかもしれません。
 
WHOのがん部門である国際がん研究機関(IARC)が、夜間交代勤務を「発がん性の疑いのある因子」とすることを計画しているそうです。
 
この件が最初に発表されたのは07年の11月から12月にかけてです。
 
その後どのような進展があったか私は把握していませんが、個人的には理解できる内容だと考えています。
 
夜間勤務とがんの関連は、1987年に米国コネチカット大学のリチャード・スティーブンス氏が最初に指摘したとされています。研究で同氏は夜間に照明を浴びることと乳がん発症の関係を報告しています。
 
氏の指摘以後、夜勤とがんの関連は各国で研究され、「夜勤はがんの発症率を上げる」旨の結果は複数発表されています。
 
日本の産業医科大学の研究でも、仕事で夜勤をする男性は前立腺がんの発症リスクが上昇するという結果が出ています。
 
深夜勤務により発症リスクが上昇すると考えられているがんとしては
 
・男性 前立腺がん
・女性 乳がん
 
 
が挙げられています。
 
この理由として、メラトニン量の低下が指摘されています。深夜に働くと体内時計が乱れるため、メラトニンなどホルモンの分泌量が低下します。
 
メラトニンは腫瘍の生成を抑制する働きがあるため、メラトニンの量が減少するとガンが発生しやすくなってしまうのです。
 
 
この「夜勤と発ガンの関係」はまだ確定したものではありませんが、先述のように、確度はかなり高いのではないかと個人的には考えています。

体内の主時計と末梢時計 調整するには

2011年4/30付の日経プラスワンを読んでいたら、体内時計に関する記事がありました。
 
これによると、体内時計には二種類あるそうです。
 
健康関連の記事で「朝から太陽の光を浴びて体内時計をリセットしましょう」とされるのは、「主時計」と呼ばれる体内時計です。
 
主時計は脳の中にあり、25時間周期のリズムで活動していますが、朝から光の刺激を受けることで、24時間周期に調整されることがわかっています。
 
一般的に「体内時計」とは、この主時計を指していることが多いようです。
 
もうひとつの体内時計は「末梢時計」で、全身の細胞内にあります。
 
末梢時計を調整するのは食事です。
 
日本大学薬学部の榛葉繁紀准教授によると、起床後1時間以内の食事は末梢時計をリセットし、主時計のリズムと同調させる効果があるのだそうです。
 
つまり朝食を抜くと末梢時計が調整されず、二つの体内時計がバラバラに活動するため、ホルモンの分泌異常や脂質の代謝異常を招いてしまいます。
 
体内時計のリズムを完全に整えるためには、朝日を浴びるだけでなく、朝食をとる必要もあるわけです。
 
昼勤・夜勤で働き、生活が不規則になりがちなシフトワーカー対象の調査では、メタボリック症候群のリスクは一般人の1.5倍以上、肥満の危険度は5倍以上も高まりました。
 
現代の社会事情ではなかなか難しい場合もありますが、健康の基本はやっぱり規則正しい生活といえるのではないでしょうか。