日本で話題になる急性肝炎はA型、B型、C型およびE型があります。
このコンテンツでは各肝炎についてまとめています。
A型肝炎 感染源や潜伏期間・症状 慢性化しないものの薬などの治療法なし!
A型肝炎はA型肝炎ウイルスに汚染された水や食物を摂取することにより経口感染します。
4週間ほどの潜伏期間を経て、のどの痛み、関節痛、発熱などのカゼに似た症状が出た後、倦怠感、嘔吐、食欲不振、黄疸などを発症します。
慢性化しませんが、実はA型肝炎に特化した治療法はありません。
そのため、安静にする、食事療法を行うなど対症療法が中心になり、回復には数ヶ月かかることもあります。
B型肝炎 潜伏期間や症状 自然回復が多いが薬物療法も
B型肝炎はB型肝炎ウイルスを保有する人の血液や体液を介して感染します。
4~24週間の潜伏期間の後、発熱、関節痛、筋肉痛、発疹、黄疸などを発症します。
成人になってからの感染は慢性化しません。
自然に回復することが多いですが、肝炎症状が治まらない場合は薬物療法を行います。
C型肝炎 慢性化しやすく肝がんへの進行も
C型肝炎はC型肝炎ウイルスを保有する人の血液、体液を介して感染します。潜伏期間は4~16週です。
初期症状は軽いことが多く、食欲不振、発熱、倦怠感、黄疸などを発症しますが自覚症状が無いケースもあります。
しかしC型肝炎は高率で慢性化するので、早期の治療が重要です。
現在感染者数は150~200万人と言われており、「国内最大の感染症」とも呼ばれます。
C型肝炎が怖いのは、肝炎から肝硬変、さらには肝がんへと進行することです。
肝がん発症者の8割はC型肝炎ウイルスの感染者という統計もあります。
輸血や予防接種で広がったC型肝炎 感染している可能性がある人の条件
C型肝炎ウイルスは、
・以前に輸血を受けた時、その血液がウイルスに感染していた
・昔は予防接種で注射針を使い回ししていたため、その針が感染していた
といった原因で感染が広がっています。
こうした不手際が起きたのは、C型肝炎ウイルス自体への理解がまだ深まっていなかったためです。
C型肝炎にかかっている可能性のある人の条件は以下のとおりです。
・2009年時点で40歳以上である(これが大前提になります)
・BCGやツベルクリン検査などの予防接種を昔受けたことがある
・1994年以前にフィブリノゲン製剤、1988年以前に血液凝固因子剤を使用したことがある
・1992年以前に輸血を受けたことがある
・臓器移植など大きな手術を受けた経験がある
・非衛生的な環境で入れ墨、ピアスの穴あけをしたことがある
・薬物乱用者である
作詞家の湯川れい子さんがC型肝炎になったのも、20代での輸血が原因と考えられています。(関連記事をご覧ください)
実は感染しにくいC型肝炎 全国の保健所・医療機関で無料検査も
現在では手術および献血・輸血時の衛生管理が徹底しているため、感染の可能性はまずありません。
感染者が家族にいても普段の生活で感染の可能性はほとんどなく、入浴場の共用、握手などもOKです。
注意するべき行動としては
・食べ物の口移し
・カミソリや歯ブラシの共用
・性行為(感染はきわめてまれ)
があります。
母子感染の確率も非常に低く、父親が感染者であっても子供に遺伝しません。
C型肝炎は全国の保健所や指定医療機関で無料検査が実施されています。「もしかしたら?」と不安に感じたら一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。
早期に発見できるほど治療効果も高くなり、治療には助成制度もあります。肝炎の治療効果は近年高まっており、先述の湯川さんも完治させています。
E型肝炎 イノシシやシカなど野生動物の生肉も感染源 海外では海産物も
上の三つの型に比べると目にする頻度は少ないですが、肝炎にはE型もあります。
E型肝炎の日本での主な感染源は、イノシシやシカといった野生動物の生肉や、市場で流通している生の豚肉や豚レバーなどです。
これらの肉類に含まれるE型肝炎ウイルスが経口感染するのです。
日本での感染者は50~60歳代が多く、女性より男性の感染率が高くなっています。
海外では汚染された飲料水や、カキやカニなどの海産物が主な感染源です。
発展途上国での流行が多く、東南アジア、アフリカ、インドなど暑い気候の地域では一般的な感染症です。
雨が大量に降った後に、飲用水の汚染が広がり流行することもあります。
そのため給水・貯水施設に溜められた水を塩素消毒するなどの対策がとられていますが、資金不足などの理由から進捗していません。
E型肝炎は六週間ほどの潜伏期間を経て、食欲不振、倦怠感、黄疸などが発症します。
約1ヶ月で完治し、慢性化することはありませんが、ごくまれに重篤化して死に至ることがあります。特に妊娠中は注意が必要で、妊娠時の感染は致死率が20~30%にまで上昇します。
対策としては、肉類を食べる際に十分に火を通すことです。E型肝炎ウイルスは熱に弱いので、いわゆる「生焼け」ではなく、中心部分までしっかり火を通しましょう。
生肉と加熱済みの肉を扱う箸・容器類は区別して使わなければいけません。