今回は雑学的な内容を。
 
アメリカFDA(食品医薬品局)は04年、うじ虫を医療機器として承認しました。
 
うじ虫を使った治療法は「マゴットセラピー」あるいは「無菌うじ虫療法(Maggot Debridement Therapy略してMDT)」呼ばれ、ヨーロッパでは1930年代から行われていました。

マゴットセラピーに関する論文も当時すでに多数発表されています。
 
うじ虫は創傷部の壊死した組織とバクテリアしか食べないため、患者は短期間で苦痛から開放されるのです。
 
映画の「グラディエーター」でも傷のうじ虫をそのままにしておく、というシーンがありましたね。
 
マゴットセラピーではうじ虫数十匹を壊死した患部などに付着させます。死滅した組織をうじ虫が食べ、一週間ほどたつとさなぎになるのでその前に新しいうじ虫と取り換えます。
 
傷の様子を見ながら繰り返していると、患部が縮小していき、新しく作られた健康な組織が大きくなってきます。
 
うじ虫は組織を食べる際、殺菌作用がある分泌液を出すのだそうです。つまり傷口を洗浄しながら食べるわけです。そのため、うじ虫に組織を食べてもらうことは感染症を防ぐ効果も期待できます。
 
日本では04年の三月に岡山大学心臓血管外科の三井秀也助手が初めてマゴットセラピーを行いました。
 
治療を施した患者の経過はいずれも順調で、治療に対する患者の評価も非常に高いそうです。