現代では多くの薬が流通しており、風邪や花粉症の症状が出た時、気軽に薬を使うのは当たり前になっています。
不快な症状を緩和してくれる薬ですが、つきものなのが「副作用」です。
広く一般的に使われている薬であっても、副作用は起き得ます。
正しく理解していないと思わぬ体調不良を招くこともあり、中には深刻なケースもあるので頭に入れておきましょう。
雑誌「週刊現代」に、薬の副作用をまとめた記事があったので、ポイントを以下に紹介します。
抗ヒスタミン薬による眠気
私たちが利用する薬でもっとも馴染みがあるのは抗ヒスタミン薬ではないでしょうか。
総合カゼ薬や鼻炎薬に配合されていて、誰でも一度は目にしているはずです。
抗ヒスタミン薬には鼻水を止める作用がありますが、脳の活性化に機能しているヒスタミンの働きも阻害してしまいます。
そのため頭頂葉や後頭葉の視覚野の反応が鈍くなり、眠気が起きるのです。
総合カゼ薬ではさらに重篤な副作用が起きることもあります。
総合カゼ薬で難病に 間質性肺炎など
多くの人に使われている総合かぜ薬ですが、スティーブンス・ジョンソン症候群や特殊な肺炎のひとつである間質性肺炎といった、難病指定を受けている病気を引き起こすことがあります。
スティーブンス・ジョンソン症候群は皮膚粘膜眼症候群とも呼ばれ、薬を飲んで数日後に38度以上の高熱を発症し、全身の皮膚や粘膜が赤くなります。
アレルギー反応のひとつと考えられており、重症化すると皮膚がただれて剥がれる、視力の低下や失明といった後遺症が残ることもあります。
間質性肺炎が悪化すると肺が硬くなり、酸素を十分に取り込めなくなります。
H2ブロッカーによる認知機能低下やED
胃潰瘍の治療薬として用いられるH2ブロッカーは、高齢者が長期間使用すると認知機能低下のリスクを高めます。
日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」では「中止を考慮すべき薬」に指定されており、日本性機能学会「ED診療ガイドライン」では、「EDを引き起こす可能性のある薬剤」に指定されています。
心臓病の薬とシメチジンやテオフィリンを含む薬の併用
不整脈や狭心症の薬を飲んでいる場合、シメチジンという成分を含む胃腸薬との併用には注意が必要です。
シメチジンは心臓病薬の代謝を妨げる働きがあります。そのため心臓病薬の成分が体内に長く留まり、副作用のリスクを高めてしまうのです。
また心臓病の薬は、テオフィリンという成分の代謝を邪魔して、頭痛や吐き気などの副作用を招くことがあります。
テオフィリンは咳止め薬に含まれていて、気管支を広げる作用があります。
これらの薬を併用する場合は注意しましょう。
湿布薬でも副作用「光線過敏症」に
副作用というと内服薬のイメージが強いですが、貼り薬でも副作用は起きます。
湿布薬モーラステープを貼ると、「光線過敏症」が起きることがあります。この原因は「ケトプロフェン」という成分で、湿布を貼った部分を日光の紫外線に当てると赤く晴れて発疹が出ることがあります。
湿布を貼った場所を日光に当てる機会は少ないでしょうが、モーラステープを使用したらその箇所には1ヶ月は紫外線を当てないよう心がけましょう。
漢方薬にも副作用 カリウム不足から偽アルドステロン症も
副作用が少ないと考えられている漢方薬にも注意が必要です。
カゼ薬としておなじみの葛根湯など、多くの漢方薬に配合されている「甘草」は、とりすぎるのはNGです。
血液中のカリウムが減少し、手足から力が抜けたり、筋力の低下などが起きる偽アルドステロン症の副作用が起きることがあるのです。
ロキソニンの腸閉塞
解熱鎮痛薬として多くの人に利用されているロキソニンには、腸閉塞を起こす副作用が指摘されています。
リスクは低いですが、もし発症した場合は直ちに医師の診察を受けなければ深刻な事態になります。
鎮痛薬を頻繁に飲んでいると、痛みを感じるセンサーが過敏になり、ますます薬を飲む回数が増えることがあります。特に頭痛でこうしたケースが多く、薬物乱用頭痛と呼ばれています。
基本的に、薬を飲んだら何らかの副作用はあると考えていて間違いありません。
手軽に購入できて、体調を改善してくれる薬ですが、重い副作用が出るリスクも意識し、使用上の注意は必ず読んで利用しましょう。
(このコンテンツは雑誌週刊現代 2016年4/16号(Amazon)の特集「飲む前に読む!クスリの副作用」を参考にしました)