フィナステリドは、男性型脱毛症に効果が認められている医薬品のひとつです。
 
日本では「プロペシア」という商品名で萬有製薬が処方内服薬を発売しています。
 
萬有製薬のデータでは、プロペシアの効果について

・一年間服用した場合の男性脱毛症(中程度まで)改善率は54~58%
・三年間服用した場合の改善率は78%、進行が止まったのは98%

 
と公表しています。
 
プロペシアを服用する際には次のような注意点があります。
 
・用法、用量を守る
服用は毎日1錠ずつ。2錠飲むなど、量を増やしても効果は変わらない。
 
・気長に継続して服用する
効果が表れるのは早くても6ヶ月、通常は10ヶ月~1年ほどかかる。
 
プロペシアを服用しているとまれに次のような副作用が見られます。

・胃腸の調子が悪くなる
・性機能が低下する
・皮膚が過敏になり、かゆくなる

 
こういった副作用が起こることは少ないですが、気付いた場合は早めに医療機関に相談しましょう。
 
また下の記事で紹介しているように、ドーピング検査で陽性の反応を示すので注意が必要です。
 
フィナステリドは、本来は前立腺肥大症の治療薬として開発されました。
 
その後男性型脱毛症にも効果を発揮することが発見され、97年12月にはFDAがフィナステリドを男性型脱毛症の治療薬として認可しています。
 
「薄毛の進行を止める」効果については、98%の人に3年間効果が認められました。
 
国内の臨床試験では半年で48%、1年で58%、2年で68%、3年で78%と服用が長くなるにつれて髪の毛も増えることがわかっています。
 
海外の調査では、ミノキシジルを配合した育毛剤を併用するとさらに効果が高まるとの報告もあります。

ガトームソン投手 フィナステリドでドーヒング違反

ソフトバンクホークスのガトームソン投手は07年の7月、ドーピング検査で陽性の診断を受けました。
 
服用していた発毛剤に禁止薬物のフィナステリドが含まれていたためです。
 
フィナステリドは日本で発売された発毛剤プロペシアに含まれていることで知られています。
 
しかし、フィナステリドは筋肉増強剤などの痕跡を隠す作用があるため、隠蔽薬として禁止薬物に指定されていることはあまり話題になっていません。
 
過去には米国のスケルトン代表選手が服用していたためトリノ五輪に出場できなくなりました。
 
また07年3月にはサッカーの元オーストラリア代表選手がフィナステリドを含む発毛剤を飲んでいたことから、ドーピング検査で陽性とされてしまいました。
 
フィナステリドを含む発毛剤は多数流通していますが、スポーツ競技に携わっているなら服用を控えたほうが良いでしょう。
 
ドーピング禁止薬物の中にはアルコールなど、日常生活で普通に摂取する可能性のある物質も多くあります。
 
(カフェインは監視対象物質として扱われており、禁止物質ではありません。ただし、注意は必要なので、念を入れるなら摂取しないほうが良いでしょう)
 
もうひとつ注意すべきなのは、かぜ薬など一般に使用される薬も一部が禁止薬物に指定されていることです。
 
大会前にカゼをひいて何気なくカゼ薬を飲んだら、ドーピングで陽性反応が出た、というケースは起こりがちです。(漢方薬でもドーピングに引っかかるものはあります)
 
アスリートであれば、禁止薬物については「知らなかった」では済まされません。練習を無駄にしないためにも、自ら勉強して情報を得る必要があります。