以前の心肺蘇生法では、
心臓マッサージ+人工呼吸
というやり方が推奨されていました。
関東および海外でも心臓マッサージだけのほうが良い結果に
最近は、
・まずは心臓マッサージを優先する。
・人工呼吸は行わず、心臓マッサージだけでも良い
という説が有力になっています。
駿河台日大病院の長尾建循環器科部長が、関東地方において、一般市民による心肺蘇生処置の症例およそ1000人分を分析しました。
その結果、救命処置を施された成人の30日後の社会復帰率は、
・心臓マッサージのみが6%
・人工呼吸との併用は4%
と、心臓マッサージだけの処置のほうが良好だったのです。
また、米国やオランダ、ベルギー、スウェーデンなどの調査でも、心臓マッサージだけのほうが良好か、ほぼ同じとの結果が得られました。
これらの調査結果を受け、2010年版の国際ガイドラインでは
「まずは心臓マッサージ。その後に可能であれば、気道確保、人工呼吸」
と記述されています。
心臓マッサージのやり方 AEDが届くまで
心臓マッサージは脳に血液を送るだけでなく、胸を圧迫することでわずかながら換気する効果もあります。
心肺蘇生の手順は以下のとおりです。
2 両乳首の中間にある、胸の平らな部分に手の平を重ねて置き、強く速く押し続ける
3 胸が5cm以上へこむ強さで、1分間に100回以上押すペースでマッサージを続ける
4 AEDが届いたら音声ガイドに従って処置を行う
子供に発生した心停止で、心臓以外が原因の場合は人工呼吸が有効とするデータもあります。
ただしその場合でも、心臓マッサージにより救命率が上がるのは変わりありません。
心肺蘇生法は、各地の講習会などで体験することができます。