本来は生物に有害な物質でも、微量であれば逆に良い作用をもたらすことがあります。
その良い作用をホルミシス効果と呼んでおり、多くは放射線が利用されます。
放射線は微量であれば健康維持に役立ち、アメリカでは1978年にトーマス・ラッキー教授が著書でホルミシス効果を紹介しています。
微量の放射線は生物の成長・発育の促進や寿命の延長、繁殖力の増加をもたらすという研究科結果もあります。
ただしホルミシス効果については必ずしも再現性が見られるわけではなく、その有効性が完全に確立されているとは言えません。
日本でホルミシス効果を利用した例としては、ラジウム温泉が代表的です。秋田県の玉川温泉は「温泉療法により免疫力や自然治癒力アップが期待できる」として広く認知されています。
その他にも福島県の三春温泉、山梨県の増富温泉、鳥取県の三朝温泉などがよく知られています。
ホルミシス効果の是非については議論が分かれていますが、温泉の健康効果は古くから認められています。
ホルミシス効果が期待できる「微量の放射線」とは10~200ミリシーベルトとされています。これは人間が1年間に自然から受ける放射線量の10~200倍に相当します。
ちなみに「ホルミシス」とは、ギリシャ語で「刺激する」という意味の「horme」が語源になっているそうです。