森に入るとリフレッシュされるのは、多くの人が感じるのではないでしょうか。

あの感覚は気分的なものではなく、ちゃんと科学的な根拠があるようです。

森林浴の効果 認定された森が熊本にも2ヵ所

森林浴をするのに最も適した条件は、晴れた日の午前10~11時なのだそうです。
 
植物の光合成が活発になり、フィトンチッドの発散も多い時間帯なのです。(フィトンチッドについては下の記事を参考にして下さい)
 
森林浴にはリラックス効果があります。
 
05年に都市部のサラリーマンを対象に行われた実験では、2泊3日の森林浴によりNK細胞の活性が52.6%向上したそうです。(ウィキペディアより)
 

 
「森林浴」という言葉は、1982年に林野庁がキャッチフレーズ的に使った言葉で、健康増進や保養の目的で日本の森林を活用しようと提唱していました。
 
それがいまではごく一般的に使われるようになったのです。
 
全国には「心身の改善効果をもたらすことが科学的に証明された森」として認定された場所がいくつもあります。
 
熊本からも「くまもと自然休養林菊池渓谷」と「端海野森林公園」の二箇所が選ばれています。このうちの「菊池渓谷」には私も何度も訪れています。
 
渓谷の水の流れは浅いところが多く、子供でも遊べます。
 
当然のことながら水は非常に透明度が高くてキレイです。
 
しかも水量が豊富なのでしぶきが常に上がっており、いわゆるマイナスイオンというやつも大量に発生しているはず。
 
真夏でもとても涼しく、良い避暑地になっています。また秋になると一面が紅葉に覆われます。熊本だけでなく九州全域からたくさんの人が訪れる名所になっています。
 
渓谷好きのあなたは、熊本にお越しの際はぜひ一度訪れてみて下さい。




森林浴おすすめの森10ヶ所

森林浴のリラックス効果が裏づけられた森林10ヶ所が「お薦めの森」として認定されました。(06年春)
 
独立行政法人森林総合研究所と日本医科大学の研究チームによるいわば「お墨付き」の森というわけです。
 
その10ヶ所は以下のとおりです。

・岩手県岩泉町 早坂高原  
・山形県小国町 温身平(ぬくみだいら)
・長野県南箕輪村 経ヶ岳  
・長野県上松町 赤沢自然休養林
・長野県飯山市 心のふるさと  
 
・長野県信濃町 癒しの森
・長野県佐久市 癒しの森  
・山口市 東大寺再建のふるさと
・高知県津野町 天狗高原自然休養林
・宮崎県日之影町 自然の恵みが人を呼ぶ里
 

 
これらの森では副交感神経の働きが高まり、血圧・ストレスホルモンは低下、免疫細胞は増加するなどの森林浴効果が確認されました。
 
森林の香りや美しい空気、木の枝や葉のざわめきにより作られる1/f の揺らぎ、日常とはかけ離れた空間などがこれらの効果を生み出すと考えられています。





森林浴といえば「フィトンチッド」です。
 
そこで調べてみたら「フィトンチッド」って、ロシア語なんですね!知りませんでした。
 
1930年ごろの旧ソ連で、植物が病害虫を寄せ付けない不思議な力を持つことが発見され、そこから「フィトン(植物が)」「チッド(殺す)」と名づけられたそうです。
 
ヒノキやマツなどの針葉樹林ではフィトンチッドの発散量が特に多いそうです。




森林浴から森林セラピーへ コルチゾール濃度低下やNK細胞活性化

森林セラピーとは、「森林浴」をさらに進歩させた療法です。
 
森林浴という言葉は1982年から使われており、森林セラピーについて本格的に研究が始まったのは04年度からだそうです。
 
森林総合研究所と千葉大学の研究では、森林で座って景色を眺めたあとは、唾液中のコルチゾール濃度が都市にいる時より13%低くなることがわかっています。
 
コルチゾールとはストレスの度合いを示すホルモンで、唾液中に多いほどストレスを受けていることを示します。その濃度が下がるということは森の中では人が「癒される」ことがわかります。
 

 
森林浴はナチュラルキラー(NK)細胞の活性も向上させ、その効果が1ヵ月後も継続しているという研究結果も出ています。
 
森林セラピーを行う際には、適度な運動を伴うと効果がより高くなります。セラピー中は、歩行前より歩行後の方がリラックスの度合いが高いという実験結果があります。
 
ただし、急な坂道を登るなど、負荷の大きすぎる運動は良くありません。無理せず楽しみながら森を歩く、地面でストレッチをする、といった動作がおすすめです。