前立腺は男性のみにあり、膀胱のすぐ下、尿道を取り囲むようにあります。大きさはくるみくらいで、精液の一部を作る役目をしています。
 
内部は2つに分かれており、尿道に近い方を内腺、遠い方を外腺といいます。

前立腺肥大症は内腺に発生し前立腺がんはほとんどが外腺に発生します。
 

 
このコンテンツでは前立腺肥大についてまとめています。

前立腺肥大の症状・頻尿など 進行すると膀胱炎や腎障害も

前立腺は年齢と共に萎縮していくのが普通です。しかし約3割の人は50代から肥大していきます。この原因はよくわかっていません。
 
50歳代の男性の約40~50%、80歳以上では80%超の男性に発症すると言われています。
 

 
肥大が進むと尿道を圧迫し、尿がすぐ出ない、出終わるまでに時間がかかる、尿のいきおいがない、残尿感があるといった症状が出ます。
 
代表的な症状は夜間の頻尿があります。これは肥大化した前立腺が膀胱を刺激するために起きます。
 
一晩に2から3回以上尿意で目覚めるようになったら要注意です。
 
また、前立腺が肥大化すると尿道を圧迫するため尿の出が悪くなります。排尿開始までに1分前後かかるようになるのも特徴です。
 
熟年以降の男性に発生し、高齢化や食生活の欧米化に伴い、日本でも急増中でここ50年で75倍にもなっています。
 

 
前立腺肥大症の症状をまとめます。
 
・排尿回数が増える
・尿意が急に起きる
・睡眠中でも尿意で目が覚め、トイレに行く
・尿がすぐ出てこない
・尿の勢いが弱い
・残尿感がある

 
肥大が進むと尿の量が著しく減少し、残尿が増えて感染を起こし、膀胱炎や腎機能障害を起こすこともあります。(次のコンテンツをご覧ください)

前立腺肥大症が膀胱炎の原因に?その理由

前立腺肥大症と膀胱炎は一見関係が無さそうですが、前立腺肥大症が原因で膀胱炎を発症するケースがあります。
 
前立腺肥大症が進むと尿の出が悪くなり、膀胱に一定量の尿が常に残るようになります。その残尿に細菌感染が発生し、膀胱炎を引き起こすのです。
 
細菌がさらに体内の奥まで侵入すると腎盂炎になることもあります。
 
膀胱炎では排尿すると陰部に痛みが走り、尿が濁ってきます。抗菌薬により治療を施せば治癒します。
 

 
膀胱炎を起こすほど前立腺肥大が進行している場合は、まず前立腺を切除する手術を最優先で行い、排尿障害を改善しなくてはいけません。
 
膀胱炎の発症に前立腺肥大症が関っているケースでは、前立腺を処置しないまま膀胱炎を治しても、高い確率で再発します。

前立腺肥大症手術TURP法 概要や費用 保険適用は?

前立腺肥大症は薬物療法の効果が高く、手術を選択する機会は少なくなっています。
 
しかし前立腺の肥大が進行していたり、薬物治療の効果が見られない場合は手術が行われます。
 

 
手術法はTURP(経尿道的前立腺切除手術)と呼ばれる手法が一般的です。
 
これは電気メスが先端についた内視鏡を尿道から入れ、肥大した前立腺を電気メスで切り取る手術です。
 
肥大した前立腺組織を尿道から削り取り、「掘り出す」ような作業を行うことになります。
 
手術時間は一般に2時間ほどで、術後は血尿や発熱が一定期間起こりますが、早ければ3~4日、遅くとも1週間ほどで退院できます。
 
このTURP手術には健康保険が適用されます。症状により違いはありますが、3割負担で13~15万円くらいの費用がかかります。
 

 
前立腺肥大症は中高年男性が最も多くかかる病気のひとつです。(関連記事もご覧ください)
 
尿の出が悪い、夜中に尿意で目が覚める、といった症状があるなら、一度泌尿器科を受診してみましょう。
 
肥大症だけでなく、がんを早期発見できる可能性もあります。