プロボクサーの竹原慎二さんは、医師の指示に従った結果、膀胱がんを進行させてしまいました。
竹原さんは2013年の1月、頻尿がひどいため知り合いのA医師の検査を受けました。当初は膀胱炎と診断され、抗生物質を処方されています。
(このコンテンツは雑誌(PR:Amazon)週刊現代 2017年 7/15号156~159ページを参考にしています)
「膀胱炎」の診断から約一年後 血尿で便器が真っ赤に 医師「見逃してました」
竹原さんはもちろんそれを服用しますが、改善しません。
そこで再び診察を受けますが、医師は「チャンピオンはお酒を飲むからだよ」と薬を渡すだけでした。
この処置は竹原さんの症状を悪化させます。同年の大晦日、便器が真っ赤になるほどの血尿が出るのです。
A医師に総合病院の泌尿器科・B医師を紹介してもらい、14年1月6日、血液検査、尿細胞診を受けます。
しかし、いつまでたってもその結果が告げられません。
1ヶ月ほど経った同年2月2日、再び大量の血尿が出たため、B医師に再診を依頼します。
翌日診察室を訪ねたところ、何と竹原さんはがんであることを告げられます。しかもB医師の告知は、耳を疑うようなものでした。
「1ヶ月前の検査結果をよく調べたら、がんの数値が出ていた」
竹原さんが語ります。
当時は何も考えられませんでしたが、いま考えると、ふざけるなと思います。
結果は、少なくとも1月の中旬には出ていたのに、B医師はそれに目を通していなかったんです。
その病院では、毎日大量の患者を診るから、いちいち結果を確認していなかったのだと思う。僕が痛みを我慢していたり、血尿が出ていなかったら、がんの発見はもっと遅れていたはずです。
全摘出手術を余儀なくされ「腸が煮えくり返る」早く検査をしていたら…
B医師は膀胱の全摘出を勧めます。
竹原さんがA医師に全摘出したらどうなるのかと問うと、A医師は謝ることもなく
「チャンピオンは十分遊んだから(性的不能になっても)大丈夫だよ」
とズレた答えを返すだけでした。膀胱がんの治療で膀胱を全摘出する場合、性機能障害が残るリスクがあるのです。
当然、竹原さんは全く納得できません。
振り返っても、あまりの無責任さに腸が煮えくり返ります。そもそも彼がろくな診察をしなかったからこうなったのです。
竹原さんが北関東の病院で受けたセカンドオピニオンでは、「もっと早く検査をしていたら全摘出の必要はなかった」と告げられています。
何ともやるせない話です。
最終的に竹原さんは東大病院にかかり、膀胱の全摘出手術を受けます。手術は無事成功し、その後再発もしていません。
しかし後悔は尽きません。
A先生が1年間くらい放置していた時に、もっと自分で調べて病院を変えていればよかった、と強く思います。周囲からは明らかにおかしいと言われていたのですが。
がんの経験を通してわかりましたが、人間は追い込まれた時、『大丈夫』と言われると、その可能性を信じてしまいます。
医師には最悪のケースを想定してほしい。
にわかには信じられないほどひどい話です。
悲しい出来事ですが、せめて私たちはこのケースを教訓として活かすしかありません。
定期検査による早期発見、セカンド(サード)オピニオンの大切さを肝に銘じましょう。