精巣腫瘍は、がんの症状としてはあまり話題になりませんが、お笑いコンビ・爆笑問題の田中裕二さんが発症した件で広く知られるようになりました。
 
男性10万人に一人程度の発症率で、年間では千数百人が発症します。

比較的希少なガンと言えますが、20~40代の青壮年期での発生が多いため進行が早く、転移しやすいので注意が必要です。
 
試験管を見つめる女性
 
精巣腫瘍の95%は、精子を作る胚細胞ががん化したもので、堅いシコリとして発生します。大きさは鶏卵大から、野球ボールほど大きさにまで肥大化することもあります。
 
かなりの大きさですが、痛みはありません。そのためあまり重大に考えず、羞恥心もあって受診を先延ばしにするケースが多いようです。
 
精巣腫瘍の診断には、触診、超音波、腫瘍マーカーなどの検査が行われ、がんのタイプと進行程度によって治療方針が決められます。
 
ガンが小さく、転移が無ければ厳重な経過観察、セミノーマ(精上皮種)であれば関連リンパ節への予防照射、転移がある進行状態では、化学療法、手術、放射線治療といった先進治療が選択されます。
 
これらの治療法により、転移があっても8割の確率で治癒が可能になっています。手術において射精神経を温存する手法も確立されています。
 
ただ、無精子症のリスクがあるため、将来に備えて精子を凍結保存する処置(保険適用外)もとられます。
 
精巣腫瘍の治療においては、京都府立医科大付属病院泌尿器科が高く評価されています。
 
同科はメンズヘルスから難治性がんまで幅広い症状に対応しており、患者会支援にも力を入れています。
 
同科の三木恒治教授は精巣腫瘍の手術でも多くの実績を残しています。
 
このコンテンツは週刊文春 2014年 9/11号125ページを参考にしました。