私の前の職場での話です。
 
一緒に働いていたおばさんが「長男夫婦は結婚して2年になるのに子供ができない」とよく言っていました。
 
親戚や相手方の親さんなどと会うと(なんとなく)「子供は?」といった雰囲気になるようで、本人達も少なからずあせりがあるようです。私などは「本人達にまかせてほっとけば」と思うのですが。

「女性の不妊治療は43歳までは有効だが、44歳以上では妊娠率が急激に下がる」という調査結果を、米ハーバード大学の研究チームが05年に発表しました。
 
同大学の調査では99年から02年まで、40~48歳の女性1263人、計2705回の体外受精の妊娠率を調べました。40歳の妊娠率は13.9%で以後年齢と共に下がり、43歳では7.6%になります。
 
これが44歳になったとたん2.6%に急減し、46歳以上では妊娠例がなかったということです。
 
不妊症と診断されるのは日本では「性生活があるにもかかわらず2年以上妊娠しない場合」と定義されています。アメリカの不妊学会では「1年以上」になっているようです。
 
もし「不妊症かも」と思った場合、女性は産婦人科に行く前の最低2ヶ月間ほど(かなり長いですよね)基礎体温を記録しておくと診断が非常に早く、かつ正確になります。
 
基礎体温は朝、目が覚めたらすぐに布団の中で寝た状態で、毎日同じ時間に婦人体温計を舌下にいれて計りましょう。 対して、男性側は特に準備することはありません。
 
夫婦10組に1組は不妊症を経験するそうです。不妊症を訴えるカップルは増えていますが、それが直接少子化とはつながらないようです。

基礎体温測定でわかること 妊娠以外で

女性の基礎体温は妊娠および避妊をコントロールする目的で測定されることが多いようですが、基礎体温のデータが教えてくれることはそれだけではありません。
 
基礎体温の推移が、女性特有の病気の発見につながることもあるのです。
 
基礎体温は、およそ36.5度の低体温期と、36.7度程度の高体温期のサイクルを二週間ごとに繰り返すのが標準とされています。
 
女性の体温は排卵を境に上昇します。排卵が始まると、体温を上げる作用のあるプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が増えるためです。
 
このことから、低体温期が標準よりも長く続くようならば、卵巣機能不全からくる無排卵月経が疑われます。
 
体温が上がらない→体温を上げるプロゲステロンが分泌されていない?→排卵が行われていない?と考えられるわけです。
 
逆に、体温が高いままの状態が続くなら、甲状腺の病気であるバセドウ病の可能性があります。
 
バセドウ病では甲状腺ホルモンが多量に分泌され、身体が「常に運動しているような状態」になるため体温が上がるのです。
 
高体温期が極端に短い、あるいは体温のグラフがM字型になる場合は、黄体機能不全症が考えられます。黄体機能不全症は不妊症の原因にもなります。
 
基礎体温は毎日、しかも継続して測定する必要がありますが、女性が自分の体調を知るには非常に有益なデータです。
 
最近はデータ管理も容易な測定器なども販売されているようですので、それらを利用しながら測定を続けると健康管理に役立つのではないでしょうか。