2010年2月、こんなニュースがありました。
 
膵島(すいとう)細胞移植の拒絶物質を特定 糖尿病治療への応用期待 福岡大と理化学研究所
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100203/ecb1002030511000-n1.htm
(現在この記事は削除されています)
 
この記事の内容をザックリまとめると・・・
 

糖尿病の根本治療になりうる手術での拒絶反応を抑えることができるかもしれない
 
・・・ということです。
 
「糖尿病の根本治療になりうる手術」が、膵島細胞移植手術です。「膵島細胞」とはあまり聞き慣れませんが、これは膵臓内にあってインスリンを作る細胞です。この膵島細胞を肝臓内に移植するのが膵島細胞移植手術なのです。
 
簡単に言うと、膵臓機能の「メイン」を担う膵島細胞を肝臓に移し、インスリンを作るという膵臓の働きを、肝臓にやってもらうための手術です。
 
 
こう書くとなにやら大がかりな手術のようですが、実は膵島細胞移植はかなり簡単な手術で済んでしまいます。麻酔も局所麻酔だけです。
 
膵臓全体を移植するという方法ももちろんあるのですが、こちらは手術自体も、また術後も患者の負担がかなり大きくなってしまいます。
 
このように概要を見ると「なんだ、膵島細胞移植って良いことずくめじゃん!」と考えられそうですが、実はそう簡単ではありません。
 
Islet Equality 1ー2―2型糖尿病における膵島機能とインクレチン
Islet Equality 1ー2―2型糖尿病における膵島機能とインクレチン

膵島細胞移植手術 問題点と解決法

糖尿病患者の肝臓に移植される膵島細胞は、誰か他の人のものが使用されます。(当たり前ですけど、本人のものは機能が落ちているのでダメです)
 
すると他人の膵島細胞が患者の肝臓に入ることから、拒絶反応が起きるケースがあるのです。拒絶反応は移植から数時間で発生し、移植された膵島細胞の破壊が始まってしまいます。これでは「移植するそばから細胞が破壊される」状態になり、移植効果が著しく損なわれて膵島細胞本来の働きができなくなります。
 
つまり膵島細胞移植は非常に優れた方法なのですが、この拒絶反応が大きなネックだったのです。
 
 
膵島細胞移植の拒絶物質を特定したという、今回の福岡大と理化学研究所の発見は、この拒絶反応を抑え、移植効果を格段に向上させるものとして非常に大きな意味を持っています。研究がさらに進めば、4~5年後には実用化されるようです。
 
 
糖尿病は日本で増加しています。現在糖尿病に悩まされている患者さんのみならず、今後発症する可能性が高い人にも希望を与える研究だと言えるでしょう。
 
とはいえ、糖尿病にかからない心がけが何よりも大事なのは間違いありません。暴飲暴食は避け、肥満気味であれば、まずは歩く距離を増やすことを心掛けてはいかがでしょうか。