イギリスの生物学者、ジェンナーは天然痘のワクチンを発明した人物としてよく知られています。
 
ジェンナーは自分の息子の皮膚に牛痘を接種することで天然痘の予防法を発見したという話がありますが、これはどうやら誤りのようです。
 
実際に接種したのは孤児院にいた8歳の少年だったそうです。

天然痘は感染力が非常に強く、また全身に膿ほうを生じて治癒してもその跡が残ります。
 
そのため世界中で悪魔の病気と恐れられ、国や民族を滅ぼしてしまうほどの猛威をふるいました。
 
天然痘は日本との関りも意外と深く、奈良時代に藤原四兄弟が相次いで死亡したのも天然痘のためとされていますし、日本の戦国大名・伊達政宗の右目が失明したのは天然痘が原因なのだそうです。
 
またジェンナーが子供に牛痘を接種するより6年早く、日本の秋月藩の藩医であった緒方春朔が人痘種痘法に成功しているのだとか。なぜか日本ではあまり知られていませんが・・・。
 
WHOを中心とした天然痘根絶の努力の結果、1980年5月8日には天然痘根絶宣言が出されました。
 
日本国内の発生は1955年を最後に根絶され、国外から持ち込まれたものは1970年代に数例確認されています。
 
世界で最後の天然痘患者は1977年のソマリアの青年でした。それから三年後、WHOは天然痘根絶宣言を出しています。