緑内障は40歳以上になると17人に1人(5.8%)が、70歳以上では10人にひとりが罹患するといわれています。
発症リスクはかなり高いのですが大半は自覚症状が無く、視野が欠ける症状がゆっくりと進行していきます。(急性の緑内障もあります)
緑内障により失われた視野は回復できず、失明の原因として糖尿病網膜症と共に常に上位に挙げられています。
現在は対処法が確立しており視力を失うケースは少なくなっていますが、放置しやすい病気でもあります。
注意点などをまとめます。
緑内障の概要 放置されやすい理由や治療法
目と角膜の下には酸素と栄養を運ぶ「房水」が流れていて、これを排出する「シュレム管」から房水がうまく出なくなると眼球にかかる眼圧が高くなります。
その結果、視神経乳頭が圧迫され、神経が障害を受けます。これが緑内障の基本的な発症のしくみです。
緑内障が進行すると視野が欠けていくのはよく知られています。
視野が無くなっていくのはかなり深刻な症状であり、本人はすぐに気付くだろうと考えがちですが、実際には視野が40%以上欠けないと気付かないことが多いそうです。
ここまで進行しないと気付かないのは、欠けた視野をカバーしようと無意識に両目が働くからで、見えないことを自覚することが少ないからです。
人間の目には「盲点」という視野の欠けた部分がありますが、左右の目がお互いの盲点を補い合う「補正機能」があるため、日頃私たちは盲点を意識していません。
ところがこの機能が逆に災いして緑内障の早期発見を妨げているのです。
急性の緑内障であれば激しい頭痛や眼痛、吐き気を感じることがありますが、大多数は症状が徐々に進行し、しかも「視野の欠け」は自覚しにくいため、緑内障であっても放置している人が多いのです。
結局のところ、緑内障を早期に発見するには眼科で定期的に検査を受けるしかありません。
緑内障が見つかった場合、眼圧を下げることが治療のポイントになります。方法としては外科手術、レーザー治療、内服薬、点眼薬などがあります。
発症の初期には点眼薬や内服薬を使って様子を見ることが多く、進行が進むようであれば外科手術などを行います。
上で書いたように緑内障では「眼圧が上がる」とされていますが、緑内障なのに眼圧は正常値というケースも多いので注意が必要です。
私の母のケースを紹介します。
眼圧正常でも要注意 初期の自覚症状 母のケース
管理人の両親はいい年齢に達しており、正月やお盆に帰省すると体調の話題が自然と多くなります。
トシをとったとはいえ、現在も働いているせいか基本的に両親はとても元気です。父親などは私より健康なんじゃないかと思うほど。
母親も概ね壮健なのですが、ちょっと気になることもあります。
どうやら母が緑内障を発症したようなのです。ごく初期の症状が出ているだけなので、いまのところ治療を始める段階ではないのだとか。
母に話を聞いたところ、緑内障についてこんなことを語っていました。
・「目にゴミが入ったような不快感がいつまでも続く」自覚症状あり
・眼圧は正常値
目の不快感が長引くため、眼科を受診したら緑内障だとわかったのです。
緑内障は自覚症状がほとんど無いと聞いていたので、初期に発見できた母は、考えようによってはラッキーなのかもしれません。
現段階であれば、ひどくなる前にいくつかの対処法があります。複数の眼科を受診してセカンドオピニオンを得る余裕もあるでしょう。症状が進行していては、選択できる有効な手段は限られてしまいます。
私のように年配のご両親がいる方は、それこそお正月などに家族が集まったら、「今年は定期健診を受けてみたら?」といった提案をするのもよいのではないでしょうか。
早期発見につながるかもしれません。
緑内障の危険因子 遺伝や血圧・タバコ 水の飲み過ぎは?
高血圧の人は緑内障リスクが高いという研究結果があります。
英国で緑内障の患者約2万7千人と、その患者と年齢や性別などの条件が同じ、緑内障にかかっていない人を英バーミンガム大学が調査しました。
すると、患者のグループは高血圧が1.3倍多く、緑内障との関連が指摘されたのです。
研究チームは血圧に関与するナトリウムが多いと、眼球内の圧力も高まるためと推測しています。
この研究結果のほか、緑内障にかかりやすい人には次のような特徴が挙げられます。
・喫煙習慣がある
・家族に緑内障を発症した人がいる
・強度の近視、あるいは遠視である
・暗いところで、下を向いて長時間作業をする
・糖尿病にかかっている
40歳を過ぎて上の条件に該当する場合は特に意識して検査を受けましょう。その際には両眼の眼圧と眼底検査をお忘れなく。ちなみに緑内障患者の男女比は、男性より女性が多くなっています。
予防法としては「喫煙、ストレスを避ける」「適度な運動をする」「水分をとり過ぎない」などがあります。水分のとり過ぎは眼圧を上げるのです。
といっても、あくまで「異常にとりすぎるといけない」わけなので、普通に飲んでいるうちはそれほど気にすることはありません。