以前私のメルマガで、ルネサンス期に超少食を実践したルイジ・コルナロという人物について記事にしました。
その中で、コルナロが少食について語った講話をまとめた「無病法」という書籍を紹介しています。
コルナロはイタリアの少食実践者でしたが、日本にもコルナロに勝るとも劣らない人がいます。
森鍼灸院院長の森美智代さんです。
森さんは世界でもおそらくトップクラスの少食家(という言葉があるかどうかわかりませんが)で、一日の食事は青汁一杯だけです。
「究極」とも言える少食がどういうものか、どのような影響を人に及ぼすかを、森さんの著書「食べること、やめました」を参考にしながら紹介します。
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「食べることやめました」読んでみました
森さんが少食を始めたきっかけは、 小学校の養護教諭だった21歳のときに難病の「脊髄小脳変性症」と診断されたことです。この病気は1~2万人に一人に発症し、ドラマにもなった「1リットルの涙」の著者木藤亜也さんが発症したのもこの病気です。
森さんは医師から「治療法はない。余命5~10年」と宣告され、ひどく落ち込みます。
しばらくして森さんは、断食・少食療法の先駆者で、西式健康法の継承者でもある甲田光雄医師の存在を思い出します。森さんは高校生の時、甲田医師の健康合宿に参加していたのでした。
・断食博士の「西式健康法」入門―病気にならない秘訣
その時甲田医師に心酔した森さんは、難病発症を機に再び甲田医師の診察を受けます。
すると甲田医師から「断食すれば治る」と言われ、「『治らない』という先生にしがみついているより、『治る』といってくださる自分の大好きな先生についていこうと思った」そうです。
夏休みや冬休みなど、学校の長期の休みには甲田医院で断食をおこない、そのたびに症状が改善し、身体が楽になりました。
しかし学校の仕事が始まり、普通に食べ始めるとまた悪化する、の繰り返しでした。そのため、森さんの症状は少しずつ悪化していったのです。
歩行障害に加えて発熱も起きるようになり、森さんはついに1986年に学校を退職して治療に専念する決心をします。それからは、断食や独自の体操などを駆使した甲田式健康法により、少しずつ症状を改善させていくのです。
一日の食事は青汁一杯だけと聞いて、真っ先に生じる疑問は
「カロリーや栄養素の必要量を確保できているのか?」
ではないでしょうか。
結論か
(計算上は)確保できていません。
まずはカロリーから。
森さんの基礎代謝量は700kcalほどだそうです。一般の成人女性のおよそ半分で、おそるべき省エネ体質です。
対して青汁一杯は60kcalです。どう考えても、摂取カロリーが少なすぎます。
いくら省エネ体質とはいえ、栄養学の常識からすると、日に日に痩せていくはずですが、森さんの体重は50kg前後をキープしています。
ビタミンやミネラルなど、その他の栄養素も、青汁一杯では基準量の40~60%しかとれません。さらには、炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素はほとんど摂取できないのです。
にもかかわらず、森さんの場合、
・血液中のアルブミン値(たんぱく質の値)は基準値範囲内
・握力は女性の中では強いほう
・骨量は同年代女性より多め
・貧血もなし
なのです。
握力正常→たんぱく質摂取量は少ないのに筋力を維持している
骨量正常→カルシウム摂取量も少ないのに骨量を維持している
貧血なし→鉄分摂取も少しだけなのに、血中ヘモグロビン濃度も正常
なわけで、摂取カロリーの件も考えると
「なぜ森さんが、食べなくても体重がへらず、十数年も元気で過ごしているのか、現代栄養学的には説明がつきません」
(大阪教育大学の奥田豊子教授)
という状態なのです。
(※むらお注 森さんは青汁の他にもサプリメントも摂取しています。この記事の最後に詳細を書いています)
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森美智代さんの少食 青汁一杯の摂取カロリーや栄養素
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