糖尿病などにより腎不全を引き起こすと、透析治療が必要になります。
日本では透析が必要な患者数は毎年1万人ずつ増えています。
私が以前やっていた仕事では、透析治療を受けているお客さんがいました。
透析治療がいかに大変かという話をよく聞いていたので、私も注意しなくては、と思ったものです。
このコンテンツでは糖尿病により起きる腎不全や、それに対応するための人工透析などについてまとめています。
人工透析の費用やクレアチニン値
人工透析の医療費は一人あたり年間約400~500万円かかります。
透析を受けている患者さんや家族会などが粘り強い運動を展開した結果、医療費の自己負担は月1万円ほどです。(05年時点)
人工透析における腎臓の機能は、正常な腎臓の約5%ほどしかありません。そのため腎移植が求められているのですが、日本では脳死下の腎移植は極端に少ないのです。結果的に人工透析に頼るしかなくなっています。
人工透析を行っても合併症などを引き起こすケースが多いのも改善すべき点です。
腎臓は体内の老廃物を血液から濾しとるという大変重要な役割を担っています。この機能が衰えてしまうと、老廃物が血液に残ったまま全身を巡ることになってしまいます。
腎機能が正常かどうかを調べるには血液中に老廃物がどれくらい残っているかをチェックします。
一般には「尿素窒素」と「クレアチニン」の数値を計ります。いずれも体内で発生した老廃物です。これらの数値が高くなるということは、それだけ老廃物が血液中に残っているわけで、腎臓の機能が弱っていることになります。
クレアチニンの場合、3.0mg/dl を超えていると腎機能が相当弱っていることになり、腎不全になっていると判断されます。
7mg/dl になると末期症状であり、腎臓はほとんど機能していません。こうなると人工透析を行う必要があります。
透析患者30万人突破(2011年)年間増加数や医療費
(2012年10月に報じられた件なのでちょっと古い話題です)
日本透析医学会の集計によると、慢性透析患者数が2011年末で初めて30万人を超えたそうです。
透析を受けることになった原因は、やはり糖尿病性腎症が最多でした。
この集計で明らかになった各種数値を紹介します。
■2011年の1年間で透析患者は6340人増加し、透析を始めた年代は70歳代後半が最も多い
■90歳代の透析導入も約600人いて、新規患者の高齢化が進行している
■透析患者数が10万人に達したのは1990年、20万人を超えたのは2000年で、10年で10万人ずつ増えている
■日本の透析患者は人口100万人あたり約2400人で、台湾に次いで多い
■週三回通院し、4~5時間の透析を受ける 医療費は年間約500万円かかる
■透析だけで約1兆5千億円の医療費を投じていることになる
■20年以上の長期透析患者数も増え続け、2万2千人を超えた 最も長い透析歴は43年7ヵ月
透析治療は金銭的にも時間的にも大きな負担になることがわかるのではないでしょうか。
これほどキツい思いをするなら、日頃のちょっとした節制を心がけるほうがいいなぁ、と強く感じるものです。
糖尿病の医療費 早期対処の有無による違い
糖尿病データマネジメント研究会代表理事で、富山大学付属病院長の小林正医師がまとめた統計によると、糖尿病で早期治療を施さない場合、生涯医療費が5000万円を超えるそうです。
反面、症状の初期から治療を行うとその六分の一ほどの医療費で済むことがわかりました。
つまり、治療が遅れるほど経済的負担が大きくなる、ということですね。(これは糖尿病に限りませんが)
しかし小林医師によると、糖尿病と診断されても半数の人は治療を全く受けないか、あるいは治療を途中でやめてしまうそうです。
糖尿病は症状が進行すると、上で挙げた腎不全、視力障害や心筋梗塞、脳卒中といったリスクが上がるのはよく知られています。
上で紹介したような多大な負担を負うことになる前に、早めに治療を始めるべきです。
何よりも糖尿病にならないのが一番なのは言うまでもありません。