「健康のために適度の運動を」とは健康トピックの決まり文句なので、私含め健康に興味のある方ならこれまで耳にタコができるほど聞いたのではないでしょうか。
 
当サイトでも何度も書いてきました。

それでは「適度に」とはどれくらいの運動なのでしょうか?
 

 
個人差があるといえばそれまでですが、日本での長期にわたる研究の結果、「これくらいが一番健康に良い」という目安は算出されているそうです。
 
このコンテンツでは「適度な運動」について、ウォーキングの歩数に換算してまとめています。
 
よく言われた「一日一万歩」はちょっと多いかも?
 
(雑誌「一個人」2015年5月号(楽天市場)82~89ページを参考にしています)

8千歩がベストか 生活習慣病を防ぐ

参考にした記事では、
 
「絶対健康になれる黄金の法則がこれだ!」
 
という、なかなかソソられる見出しがついています。
 
早速結論に入ると、「絶対健康になれる」のは、
 
1日8千歩・中強度の活動20分
 
です。
 
これは、東京都健康長寿医療センターの青柳幸利医学博士が主導で行った、「中之条研究」により判明しました。
 
中之条研究とは、群馬県中之条町に住む65歳以上の人5千人を対象に、身体活動と病気予防の関連を調査した研究で、2000年から始まりました。
 
「1日8千歩・中強度の活動20分」が最も程よく適度であり、この運動を習慣にしているグループは、
 
がん 動脈硬化 心疾患 脳卒中 糖尿病 うつ 認知症
 
にかかる人はほとんどいないのです。
 

 
それだけでなく、高齢になっても支援や介護を必要とせず、元気な人が多いとされています。
 
いずれも現代の日本人を悩ませる病気ばかりですよね?
 
この8千歩は、ダラ~ッと歩いてはダメです。「中強度」というポイントもおさえなくてはいけません。
 
中強度とは、こんな感じです。

・いつもより早く大股で
・なんとか会話できる程度の速歩き
・息が乱れるほどペースを速くする必要はない

 
ほとんどの人は、いわゆるマイペースよりも、意識して速歩きする必要があります。

歩きすぎてもダメ

ここでひとつポイントなのは「とにかくたくさん歩けば良い」というわけではないこと。
 
そのため、これまでの定説「1万歩」ではなく「8千歩」なのです。
 
歩きすぎると「適度」ではなく過負荷になり、健康に良くないのです。
 
青柳博士は、この点について

1万2千歩を超えると、健康効果は頭打ちになります。逆に疲労がたまってしまい、免疫機能が下がって風邪をひきやすくなり、ひざも痛める。
 
余程メタボが気になる人以外は、8千歩が理想的なんですよ。

と指摘しています。
 
激しいトレーニングを重ねたアスリートで、長寿の人は少ないことが知られています。
 
負荷の大きすぎる運動は、活性酸素による弊害はじめ、関節の故障、循環器系の病気リスクなどを上げてしまいます。
 

 
「運動するために必要な体力」と「健康維持のために必要な体力」は別物なのです。
 
もちろん、歩数が不足するのはもっとダメです。

歩数別 病気の予防効果

中之条研究では、「これだけ歩けば、この病気・不調は予防できる」という目安がわかっています。

2千歩 寝たきり
4千歩 うつ病
5千歩 要支援・介護 認知症 心疾患 脳卒中
 
7千歩 ガン 動脈硬化 骨粗鬆症 骨折
7千5百歩 筋減少症 体力低下
8千歩 高血圧症 糖尿病 脂質異常症 メタボリックシンドローム(75歳以上)
 
9千歩 高血圧(正常高値血圧) 高血糖
1万歩 メタボリックシンドローム(75歳未満)
1万2千歩 肥満

 
一日2千歩未満しか歩かない人は、寝たきりのリスクが高く、7千歩未満の人はガンや動脈硬化、骨粗鬆症にかかりやすくなる、というわけです。
 
最近はスマホや携帯電話にも歩数計がついてます。歩数の把握は、かなり身近になりました。
 
日常生活でまとまった距離を歩く場面では、参考のため一度歩数を計ってみてはいかがでしょうか。
 

 
さらに気合を入れてデータを取りたいなら、身体活動計で測定してみましょう。
 
青柳博士によると

身体活動計を身に着けて、正確に測定していると、日々の意識も変わってくるんですね。
 
もっと外出しようとか、歩くときにしっかり足を踏み出そうとか。
 
入浴時以外はずっと携帯することで、眠りの質までわかります。

なのだそうです。

歩く習慣が無かったらまずは2千歩から

8千歩を連呼してきましたが、もちろん8千歩キッチリで止める必要はありません。
 
歩数が多少増減しても問題ないでしょう。あくまで目安として意識して下さい。
 
「あんまり歩かないなぁ」というあなたは、多少強引にでも歩く場面を作ってはいかがでしょうか。
 
自転車や車での移動を徒歩に変える、わざと手前の駅で降りて、目的地まで歩く・・・といった工夫するわけですね。
 
とはいえ、8千歩歩くのはなかなか大変なのも事実。
 
歩く習慣が全く無かった人は、いきなり長距離歩かずに、まずは2千歩を目安にするのもアリのようです。
 
青柳博士によると

2千歩ならちょっとした心がけで増やすことができるんですよ。それを2ヵ月続ければ、確実に体が変わり、長寿遺伝子のスイッチが入りますから。

とのこと。
 
やっぱり、ある程度歩くのは健康維持に大切なようです。