「家族の一員」として非常に人気のあるペットですが、ペットからうつる感染症には注意しなくてはいけません。
主な感染症を紹介します。
猫ひっかき病 感染経路と症状
バルトネラ菌が病原体となり発症します。猫や犬などの動物間ではノミを介して感染が広がり、動物には症状が出ません。
日本では猫の10%ほどが菌を保有していると言われています。
猫に引っかかれることでこの菌が人間に感染することがあります。
リンパ節が大きく腫れる、吐き気や発熱、疼痛といった症状が起きます。
自然治癒することもありますが、症状が長期化し、患者の免疫力が落ちていると重症化する場合もあるので油断はできません。
Q熱 感染力は強い 経路や症状は
病原体はコクシエラ菌で感染力は非常に強く、ペットの1%程度に存在しています。
ペットの糞便、あるいは家畜であれば乳や卵から感染します。
急性であればカゼに似た症状が出て、1~2週間で改善することが多いようです。死亡率は1~2%であり、予後は比較的良好です。
急性から慢性のQ熱(6ヶ月以上の感染)に移行することがあり、慢性になると心内膜炎や、骨髄炎、慢性肝炎、慢性疲労症候群などの原因になります。
パスツレラ菌 口中に存在 噛まれる・舐めるはNG
この菌は猫の口内には100%、犬の口内には約75%の確率で存在しています。
猫や犬に噛まれることで人間に感染し、噛まれた後15~30分程度で腫れ・激痛、まれに髄膜炎といった症状が現れます。治療には抗生物質を使用します。
予防のためには、ペットの口をなめない、あるいはペットに口をなめさせないようにしましょう。
皮膚糸状菌症 湿疹や脱毛
真菌により皮膚炎や脱毛などの症状を起こします。犬・猫と人に同じような症状が出ます。
真菌による皮膚炎を患っているペットを飼っていると、しばらくして人間の子供にも湿疹や脱毛などが発症することがあります。
真菌は髪や皮膚を構成するケラチンを好む菌ですが、ペットも人間も適切に治療すればいずれも完治します。
ペットからの感染症を防ぐには、正しい知識を身につけて、口移してエサを与えるなどの過度の接触を避ける必要があります。
カプノサイトファーガ感染と免疫力 死亡率は30%も!
最近は「ペットOK」のマンションも増えていて、ひとり暮らしでもペットを飼う人が多くなりました。
ペットを飼う家庭はもちろん、個人でもペットを家族のように扱っている人は増えています。
ペットは可愛いですが、上で挙げたように特定の病気を媒介することがあります。
最近注目されているのはカプノサイトファーガという病原菌による感染症です。この菌は犬の口の中に存在し、免疫力が低下している人がかまれると発症することがあります。
心内膜炎や敗血症を起こして死亡することもあり、死亡率は30%に達するという報告もあります。2002年にはカプノサイトファーガ菌感染による死者が出ています。
国立感染症研究所の調査では、95%の飼い犬に病原体が見つかっています。
また同研究所は、高齢者とペットの接触に警鐘を鳴らしています。高齢者は免疫力が低下しているため、ペットからの感染症にもかかりやすいのです。
高齢化が進んでペットを飼うお年寄りが増えると、感染症に罹患するケースも増える懸念があります。
子供達も免疫力弱いため、同様の警戒が必要です。