05年の6月下旬、四川省の農民の間で感染症が流行しました。

中国衛生省と農業省が調査した結果、農民達は豚の連鎖球菌に感染していたのです。





この感染症による死者は9月下旬時点で40人を超え、感染者は200人を突破しました。
 
農民が豚の連鎖球菌に感染したのは、食肉処理の際に病気の豚に接触したことが原因ではないかと考えられています。
 
同省では家畜の処分を禁ずる通達を出して、新たな感染の封じ込めを図りました。
 
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中国は感染症の話題に事欠きません。
 
古くから指摘されている感染症として代表的なものに狂犬病があります。中国衛生部の発表では、06年の狂犬病の発症者数は3385人に達しています。
 
中国の狂犬病発症数は1980年代にピークに達しましたが、その後は徐々に減少傾向にありました。しかし、2000年代に入ってからはまた増加傾向に転じています。
 
中国国民の生活水準が向上し、犬を飼う人が増加したためと考えられています。
 
中国農業部が発表した統計では、中国の飼い犬の数は7509万匹で、その内訳は都市部に1144匹、農村部に6365万匹です。
 

 
狂犬病の拡大傾向に危機感を覚えた中国当局は06年の7月、雲南省イ族自治州にいたおよそ5万5千匹の犬を狂犬病予防の名目で撲殺しました。
 
何とも乱暴極まるやりかたですが、狂犬病の危険性や予防接種の必要性が周知されない限り根絶はできないのではないでしょうか。
 
中国を旅行する際は、犬を見かけても絶対に触ってはいけません。狂犬病の致死率は100%です。