ゴールデンウィークなど連休の後になると、海外で感染し、日本で発症する「輸入感染症」が増えます。
 
海外でマラリアに感染し、日本で発病すると「輸入マラリア」となるわけです。
 
スウェーデンの場合、マラリア感染者の四分の三は、サハラ以南のアフリカ諸国からの帰国者で、感染のリスクが高いのが男性と6歳までの子供だったそうです。

WHOによると、輸入感染症で多いのは旅行者下痢症(つまり下痢でお腹をこわす)で、輸入感染症のうちの30~80%を占めているそうです。
 
次いでマラリア、急性呼吸器感染症、消化器感染症、性感染症と続きます。
 
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一般的な海外旅行で感染の可能性が最も高いのは、経口感染ではないでしょうか。特に水、あるいは水で洗った野菜や果物によるものが多いようです。
 
現地で生水を避けるのは常識となっていますが、市場などに出ている果物を食べてお腹をこわすことがあります。果物自体が悪くなっている場合はもちろん、現地の生水で洗浄されていても症状が出るリスクがあります。
 
 
熱帯・亜熱帯地方では蚊などの動物による感染にも注意しなくてはいけません。
 
虫による感染症には以下のようなものがあります。
 
蚊(マラリア、デング熱、黄熱、日本脳炎)やダニ(ツツガ虫病など) ノミ(ペスト) ブヨ(オンコセルカ症) ツェツェバエ(睡眠病)
 
動物からの感染症は狂犬病にも注意しなくてはいけません。
 
中国など、世界には狂犬病が流行している国がたくさんあります。旅行先では犬との接触は避けましょう。

東南アジアでデング熱多発 カンボジアやインドネシア 日本でも?

地球温暖化が進んでいることから、東南アジアでデング熱が大流行しています。(この記事は07年に作成しています)
 
カンボジアでは07年の上半期、前年同期の倍以上に上る1万5000人のデング熱感染が確認され、そのうち128人が死亡しています。
 
タイ、マレーシア、ベトナムの07年上半期でのデング熱感染者数は各国全てで2万人を超え、前年同期に比べて30%ほど増加しています。
 
インドネシアの首都ジャカルタではデング熱患者が多発したことから「デング熱非常事態宣言」が出されました。
 
1978年、シンガポールのデング熱患者は384件でしたが、20年後の98年には5258件にまで増加しています。
 
温暖化によって、デング熱を媒介する蚊(ヒトスジシマカ)の活動が活発になり、生息範囲が広がっていると考えられます。温暖化が進むと、日本の沖縄や九州でもデング熱が流行するようになると警鐘を鳴らしている感染症の研究者もいます。
 
07年現在、デング熱にはワクチンはありません。媒介する蚊に刺されないことが重要です。
 
デング熱は4日~7日の潜伏期間を経て頭痛、発熱、筋肉・関節痛が発症します。発症して三日ほどすると発疹が出て顔や四肢にまで広がります。一般には七日ほどで症状が消え、回復します。
 
再感染してデング出血熱になると口や目、鼻から大量に出血して命にかかわる場合もあります。