タバコを吸う人は吸わない人に比べて、虚血性心疾患を起こす危険性が男性で1.7倍、女性で1.9倍高くなります。
外国の調査では禁煙すると動脈硬化によって起こる病気での死亡率が38%から60%も減少すると報告されています。
タバコによりリスクが上がる病気 寿命にも影響
日本の調査では心筋梗塞を起こした後禁煙すると、再発率や死亡率がタバコを吸い続けた人の4分の1になるとの結果が出ています。
タバコを吸わない人のがん死亡数を1とすると、喫煙する人の肺がんでの死亡率は男性で4.5、女性で2.3、喉頭がんにいたっては男性で32.5、女性では3.3にもなります。
喫煙者の寿命についての調査もあります。
1980年に全国3000ヶ所の保健所で健康診断を受けた30歳以上の男女9625人(男性4237人 女性5388人)に対して追跡調査が行われました。
このうち99年までに死亡した約2000人について平均余命を算出しました。
平均余命算出の際には喫煙の有無や年齢別の死亡率なども調査されています。
それによると
・タバコを吸っている男性の40歳時点での平均余命は吸わない男性より3.5年短い
・1日2箱以上吸う男性の余命は1箱未満の人より0.9年短い
といったことがわかりました。
予想通り?喫煙者の寿命は短くなってしまいます。
受動喫煙の例を挙げると、夫が1日20本の喫煙者である妻の肺がんの死亡率は、夫が吸わない人の2倍に上昇するという報告があります。
女性にとっても百害あって一利なし
最近は喫煙習慣のある女性も目立ちますが、タバコは女性にとっても百害あって一利なしです。
なによりタバコを吸うとシミ・シワが増えるなど、美容に悪いのです。
また喫煙は血管を収縮させるので、女性に多い冷え症を悪化させてしまいます。
タバコに含まれるニコチンは、カテコールアミンというホルモンの分泌を促進し、このホルモンは血管を収縮させる働きがあります。
冷えを悪化させるだけでなく、血圧を上昇させます。そのため動脈硬化が悪化し、血管の内径を狭くします。
さらにニコチンは血小板を刺激し、血液を固まりやすくします。このため血栓の形成も早めてしまいます。
喫煙者は非喫煙者に比べて冠動脈疾患に約2倍なりやすく、心臓病で突然死する割合は4倍高いことがわかっています。
タバコの有害さは16世紀に指摘されていた
タバコが有害であるとする議論は、16世紀初頭のスペインとイングランドですでに始まっていました。
脳や肺に悪いという指摘を始め、タバコの害に関する研究が本格的になり、数も増えていきました。1900年には喫煙による肺がんの増加を指摘した研究も発表されています。
1938年にはアメリカのレイモンド・パールが、タバコの持つ健康への悪影響を発表しました。
1930年代後半から1960年代にかけては喫煙と肺がんに関する研究がさかんに行われ、このころから「喫煙は公衆衛生に反する」という機運が高まってきます。
タバコの煙にはアンモニア、活性酸素、一酸化炭素、窒素酸化物、鉛、ヒ素、アセトアルデヒドなど多数の有害物質が含まれています。
いずれも「体内で発生する有害物質」あるいは「人が中毒で亡くなった」ニュースで目にするものばかりです。
これだけの毒物を、お金を払ってわざわざ吸引する喫煙という行為は、どう考えてもナンセンスではないでしょうか?
中毒性があって禁煙が困難なのはわかりますが、いま禁煙の手段はいろいろあります。
医師に相談できる「禁煙外来」も一般的になりました。まずは禁煙にトライしてみてはいかがでしょうか。