女性にっこり「乳がん」と一口で言っても、細かく分類すると19種類に分けられます。
 
乳がんはがんの中でも組織学的な分類が非常に多岐に渡っているのです。
 
乳がんを大きく分けると非浸潤がんと浸潤がんの二種類があります。

非浸潤がんとは、乳管の中にとどまっているがんで、リンパ節などに転移することの無いがんです。
 
これに対して、浸潤がんとはがん細胞が乳管を破って外部に出てくるもので、リンパ管や血管にも侵入します。
 
結果として肝臓や肺などへの転移を引き起こしてしまいます。
 
乳がん検診では「乳腺の細胞が良性か悪性か」が問題になるわけですが、この判別は非常に難しいそうです。乳がん検診ではおよそ10%に診断結果の訂正が見られたという統計もあります。
 
つまり当初は悪性と判断された診断が後に良性と訂正されたり、浸潤がんが非浸潤がんと訂正された、などのケースがあったわけです。
 
乳腺細胞の診断には経験と高度な知識が必要なのです。
 
ちなみに、良性の腫瘍が悪性に変わることはまず無いそうです。それまで良性だった腫瘍が悪性に変わったのであれば、それは元々悪性だったと考えられます。
 
現在日本では年間5万人が乳がんを発症しています。この数は増加傾向にあり、2020年までには10万人に達すると言いう予測もあります。
 
40歳を過ぎた女性は年に一度は検査を受けることが推奨されています。

乳がんの分類 ホルモン感受性の陰・陽と治療法

乳がんを治療する際にはそのがんの「ホルモン感受性」が必ず問題になります。
 
ホルモン感受性とは、そのがんが「ホルモン受容体」を持っているかどうかを表わすものです。
 
ホルモン受容体とは、ホルモンと結合できる組織のことです。
 
持っていれば「陽性」、持っていなければ「陰性」と呼ばれ、「ホルモン感受性が陽性」「ホルモン受容体が陽性」といった表現で使われます。
 
ホルモン感受性によってがんの治療法も変わってきます。
 
ホルモン受容体を持っているがん細胞、つまりホルモン感受性が陽性のがんはホルモンと合体することで増殖する特徴があります。がん細胞がホルモンを餌として食べて大きくなるイメージです。
 
乳がんの場合、およそ7割が女性ホルモン受容体が陽性と言われています。この場合、女性ホルモンを抑制すればがんは縮小するため、ホルモン療法が有効です。
 
対して女性ホルモン受容体が陰性の乳がんでは、がん細胞とホルモンに接点が無いため、ホルモン療法は効果がありません。トラスツズマブなどの抗がん剤をメインにした治療が施されます。
 
これらホルモン療法や抗がん剤療法などの乳がん治療レベルは目覚しく向上しています。
 
有効な手段を十分に生かすためには、乳がんを早期発見することがなにより大事です。