胃がんや大腸がんの手術では、腹腔鏡手術を施されるケースが増えてきました。

有名人がこれらのがんを患った際は、多くが腹腔鏡手術を行った、と報じられています。

従来の回復手術のデメリット

これまで主に行われていた開腹手術には、このようなデメリットがあります。
 
・腸閉塞を起こしやすい お腹を大きく開くと、傷が治る過程で傷と腸や腸と腸同士がくっつくことがある
 
・お腹の中が外気さらされ、無影灯の光も当てられるので乾燥してしまう
 

 
・手や機械で腸を圧迫するため、術後に腸の動きが悪くなったり、麻痺することがある
 
・骨盤の奥にできた直腸がんは見えにくい
 
・手術直後の回復が遅い
 
大腸がん、胃がん、子宮がんなどで開腹手術をすると、癒着性腸閉塞を起こしやすいとされています。




腹腔鏡手術のメリット・デメリット

腹腔鏡手術には、こうしたメリットがあります。
 
・小さな穴を開けるだけなので、お腹の中は通常どおりの湿潤な環境で、腸も動いたまま
 
・術後の回復が早い
 
・腸閉塞になりにくい
 
・開腹手術で見えにくい骨盤の奥の直腸がんも見つけやすい
 

 
腹腔鏡手術が優れているとはいえ、万能ではありません。このようなデメリットもあります。
 
・手術中のとっさの事故に対処しにくい 大量出血した場合は、開腹手術が必要になることもある
 
・腫瘍を取り残してしまうことがある
 
・臓器に直接触れないので、がんの範囲を見誤る可能性がある
 
もしもいずれかの手術が必要になった場合、開腹か腹腔鏡かは、医師が適切に判断しますが、一応基礎知識として知っておきましょう。
 
(このコンテンツは雑誌 週刊文春 2016年 7/28号(Amazon)140~142ページを参考にしました)