このコンテンツではがん治療に関する話題をまとめています。
がん治療生存率は病院によって差があるとする記事も紹介しています。
陽子線治療は副作用が少ない・高精度 費用が高額なのがネック
エックス線によるがん治療では、エックス線ががん細胞を通り抜けてしまい、患部の先の正常な細胞にも届いて副作用の原因になる難点がありました。
一方陽子は体内である程度の距離を進むと止まり、直前に最大のエネルギーを放出します。この性質を利用すればがん細胞だけを狙い撃ちでき、副作用を最小限に抑えられます。
陽子線は体内最深部のがんでも、高精度で集中できます。
陽子線治療は特に目の悪性黒色腫、頭蓋底の腫瘍、前立腺がんに有効とされ、欧米の一部では保険が適用されるほど一般的な治療として普及しています。
06年現在、肝臓や食道、膀胱のがんで好成果をあげており、今後は肺がんやすい臓がんの治療にも適用される予定です。
照射時間は長くて5分ほどで、患者は準備も含めて約15分間水平なベッドに寝ているだけ。治療期間は肝臓がんなら平均4週間程度です。
陽子線治療は06年現在の日本では5カ所で行われています。
効果の高い陽子線治療ですが、300万円近くの自己負担が必要なのがネックです。
がん治療の生存率 病院間での違い 治療件数が多いほど高い
05年の調査では、がん治療5年後の生存率が病院によって最大20%も差があることがわかっています。
「全国がんセンター協議会(30病院加盟)」に加盟している病院の中で胃がん、肺がん、乳がんについて、治療から5年後の生存率を比較したところ、13~20%の差があることが厚生労働省の調査でわかりました。
国公立のがん専門病院でこれだけの差があるので、一般の病院ではさらに大きな格差があると考えられます。
また、07年5月12日付の読売新聞には
肺、肝臓、胃など13種類のがんの治療においては、治療件数が多い病院ほど患者の5年生存率(がんが治癒したと考えられる目安)が高くなる。
という記事がありました。
こちらは約7万人のデータを基に大阪府立成人病センターの調査グループが発表しています。
肝臓がんの場合、治療件数が最も多い病院と最も少ない病院では5年生存率に3倍以上の開きがありました。(治療件数が最も多い病院では34.4%、最も少ない病院では10.4%)
肺がんでは極少件数病院(治療件数で病院を4グループに分けた時の最少件数グループにはいる病院)での死亡危険性は多件数病院(同4グループ中の最多件数グループ)の1.8倍、前立腺がんでは2.7倍に達しました。
この他、食道・卵巣がんでも治療件数が少ない病院ほど死亡の危険性は高くなりました。
反面、胃、大腸、乳がんでは治療件数で差は少なく、極少件数病院の危険性だけは明らかに高くなりました。