男子陸上400mハードルの為末大選手は07年の7月のヨーロッパ遠征では調子が上がらず、途中帰国してしまいました。
 
その後、広島のおじいさんから送られてきた禅や武道の本を読み漁ったところ、「丹田に力が入らないとダメ」という結論に達しました。
 
合理主義者である為末選手は、これまで東洋の思想にはあまり興味がありませんでした。しかし丹田の重要性に気づいてからは練習後鉄棒にぶら下がり、丹田を押してもらって鍛えています。

その結果
 
「競技でも体が流れなくて前に進む。エネルギーにムダがない」
 
と手ごたえを掴みました。
 
 
7月8日には「450m走で52秒7が出ました」と会見しています。
 
01年のエドモントン大会(為末選手は銅メダルを獲得)前には54秒7だったことから、丹田パワーの効果は確実に現れているのではないでしょうか。
 
 
丹田って、正確には体に三箇所あるんですね。(「丹田」とは、男性の体に使う言葉だそうです)
 
眉の間にある上丹田、心臓の下の中丹田、へその下9cmほどのところにある下丹田の三つです。一般に丹田というと、お腹の下丹田を指しています。
 
「丹田」という名の臓器などがあるわけではありません。念のため。
 
丹田を鍛えたことで最も有名なのは肥田春充氏ではないでしょうか。
 
肥田氏は幼少の頃は体が非常に弱く、「もう命が助からない」という宣告を二度も受けています。
 
18歳の時に心身を強くすることを決意し、西洋のウェートトレーニングに東洋の丹田鍛錬などを取り入れた独自の心身鍛錬法を開発します。
 
この鍛錬法により肥田氏の体は飛躍的に頑健になります。一例として、「剣道の突きで、体重75kgの男を10mほど吹っ飛ばした」といったエピソードもあります。
 
やや眉唾な印象もありますが、丹田を意識することは健康の助けになることは間違いなさそうです。