ある程度年齢が進むと、特定の姿勢をとる時に手やあご、頭がふるえることがあります。
ものを書こうとペンを握った時、あるいはコップを手にしたときなどに手が震えるもので、こうした症状を「振戦(しんせん)」といいます。
振戦の症状と治療法 まずは薬の投与で
50歳を過ぎると増えますが、若い人にもごくまれに見られます。
若い人に発症するのは遺伝の要素が大きいため「家族性振戦」、高齢者であれば「老人性振戦」と呼ばれます。
振戦は原因が解明されてないので、「原因がよくわからない」という意味の「本態性」をつけて「本態性振戦」と一般には呼ばれています。
命に関るものではありませんし、もちろんアルコールの依存とも全く関係ありません。
手が震えるのは不便ですが、日常生活に大きな支障が無ければ治療の必要はありません。ただし生活を送る障害になるようなら、治療を施します。
治療ではまず薬物療法が行われます。
振戦の治療では、交感神経に作用するもの、鎮静効果のあるものなど数種類の薬物が使われます。
いずれもめまい、ふらつき、眠気、吐き気などの副作用が出ることがあります。
薬物療法で効果が見られなかったり、副作用が強く出る時は脳外科手術を行うこともあります。振戦が起こる経路を遮断するなどして震えを抑えるのです。
ただし、脳手術は症状が非常に重いときの手段です。
パーキンソン病での手の震え 本態性振戦との違い
パーキンソン病でも手の震えが起きますが、本態性振戦とは少し違いがあります。
本態性振戦では何かをしようとするときに震えが出るのに対して、パーキンソン病では何もしていないときに震えが起きます。
例えばペンでものを書こうとしている時は、本態性振戦はペンを持つ手が震え、パーキンソン病では紙を押さえている手が震えるのです。