がんの発症リスクは、遺伝も少なからず関係しています。

遺伝がどれほど影響するかは、がんの種類によって違います。
 
(このコンテンツは雑誌「週刊現代」2013年6月8日号183ページを参考にしています)

がんが遺伝する割合や確率ではありません

「週刊現代」に、がんの遺伝発症リスクを指数にしてまとめた記事がありました。ちょっと昔の記事で恐縮ですが紹介します。
 
指数は医師などへの取材を元に算出されています。
 
この指数は、がんが遺伝する確率ではありません。がんの種類で遺伝しやすさを比べる数値です。
 

 
「肺がん50」と「大腸がん80」で「大腸がんは肺がんの1.6倍遺伝しやすい」という目安にして下さい。
 
予防的切除とは、がんリスクが疑われる箇所をあらかじめ切除してしまう処置です。
 
ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝子検査で「乳がんのリスクが高い」と判定された後、健康な両乳房を予防的切除した件は大きく報じられました。

肺がん 50

一部の患者にRAC遺伝子の変異が見られるとの研究報告があるが、詳細はまだ研究段階で解明が進んでいる。




胃がん 80

根治困難なスキルス性胃がんは、CDH1遺伝子に変異のある家系で多発すると判明している。予防的切除が可能。




大腸がん 80

家族性大腸腺腫症、遺伝性非ポリポーシス大腸がんの遺伝的素因保持者の発がん率は約80%。予防的切除が可能。




乳がん 80

原因遺伝子BRCAには二種類ある。変異があると卵巣がん、男性乳がん、前立腺がんのリスクも。予防的切除可能。




肝臓がん 20

肝炎ウイルスが関与するケースが最も多く、原因遺伝子はわかっていない。重要な臓器のため無闇な摘出は不可。




脳腫瘍 50

原因遺伝子の特定はまだだが、先天病のリフラウメニ症候群患者では急性白血病などとともに多発する。




目のがん 50

網膜のがんである網膜芽細胞腫の原因遺伝子には、RB1という原因遺伝子が特定されている。骨肉腫とも関連。




咽頭がん 20

基本的に喫煙によるリスクが非常に大きい。中咽頭がんは子宮頸がんと同じくヒトパピローマウイルスも原因。




甲状腺がん 50

遺伝性のものはRET遺伝子の変異が原因。遺伝子診断も広く実施されている。全摘出しても比較的影響が少ない。




食道がん 20

原因遺伝子は今のところ特定されていない。アルコール分解酵素を作る遺伝子がないと危険が高まるとされる。




十二指腸がん 80

原因遺伝子とされるPSCAは、活発だと胃がん、不活発だと前立腺がんの原因に。血液型がO型の人もなりやすい。




腎臓がん 50

がん抑制遺伝子のひとつVHLに変異を持つ患者が全患者数の4割前後を占める。予防的切除の実施は困難。




すい臓がん 20

RAC1などいくつか原因遺伝子の候補はあるが、特定には至らず。初期症状がなく、発症時は手遅れのケースも。




子宮がん 50

子宮体がんは大腸がんの原因遺伝子と関連している。がん抑制遺伝子のPTENも深くかかわっている。




卵巣がん 80

乳がんの原因遺伝子でもあるBRCAが変異するとリスク上昇。




精巣がん 20

現在17もの遺伝子の突然変異が要因として挙げられているが、詳細はまだわかっておらず、研究が進められている。




前立腺がん 80

乳がん、卵巣がんの原因ともなるBRCAの変異を持つ男性はリスクが高い。予防的切除も不可能ではない。