米国での研究によると、乳がんにかかった女性が肥満の場合、生存率が低くなるそうです。
米国がん研究協会の発行誌「臨床がん研究」08年3月号に掲載されました。
太っている乳がん患者は生存率低下 再発リスクは上昇
研究では、乳がん患者606人をBMI 24.9以下の標準体重、25~30の肥満、30以上の高度肥満の三グループに分け、生存率を比較しました。
その結果、
◆5年生存率
・正常体重 67.4%
・肥満 56.3%
・高度肥満 56.8%
◆10年生存率
・正常体重 56.5%
・肥満 41.8%
・高度肥満 42.7%
と、太り気味の女性ほど明らかに生存率が低くなっており、再発のリスクも太っているほど高かったのです。
これと似た研究は厚生労働省主導でも行われており、結果も米国のものとほぼ同じです。
厚生省の研究は全国40~69歳までの女性5万4千人を対象に、90年から94年までの生活習慣などを調査しました。06年の12月にネット上で発表されています。
閉経後の女性に関しては、BMI指数が大きいほど乳がんリスクが高くなりました。
BMIが30以上の女性の乳がんリスクは、19未満の女性に比べて2.3倍高くなっていたのです。
ただし、閉経前の女性ではBMIとの関連は見られませんでした。
乳がんにかかるリスクも上げる肥満
さらに肥満は、「乳がんにかかるリスク」も上げるとの研究結果もあります。
アメリカの国立がん研究所が、閉経を経験した女性3万人以上を対象に行った調査では、BMIが25以下のやせ型女性では乳がんのリスクが30%下がったという結果が出ています。
ネット上で乳がんに関して調べてみても、「肥満は乳がんのリスク要因」と紹介しているサイトは数多くあります。
肥満気味の女性は乳がんの罹患リスクも悪化リスクも高いと言えそうです。
ちなみにその他のリスク要因としては
・動物性脂肪の摂取量が多い
・初潮が早い
・閉経が遅い
・初産年令が高い
・出産の経験が無い
といったものがあります。
最近は乳がんに関する周知活動が盛んになっていますが、検診などを自発的に受ける女性はまだ少ないようです。
乳がんは早期発見できれば完治が可能です。早く見つけることが何よりも大事なので、機会を見つけて検診を受けましょう。
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