「片鼻呼吸健康法」はご存知でしょうか?
 
健康雑誌「壮快」の記事によると、80歳でエベレストに登頂した三浦雄一郎さんも習慣にしているそうです。

酸素の吸入量を増やすのはもちろん、脳や血管に良い効果をもたらし、新陳代謝も活発にするのだとか。
 

 
雑誌「壮快」の記事からポイントをまとめて紹介します。
 
「壮快」2014年02月号(Amazon)66~69ページを参考にしています)




三浦雄一郎さん・敬三さんの片鼻呼吸やり方 アロマも併用

片鼻呼吸法は三浦さんのお父さん・敬三さんも実践していました。
 
敬三さんは101歳でお亡くなりになるまで認知症は発症せず、やや難聴気味でしたが聴力もほぼ健全、しかも生涯スキーを楽しみました。
 
敬三さんは片鼻呼吸の際、バラやラベンダー、ジャスミンなど香料の入った小瓶を使っていました。
 

 
まず指で片方の鼻の穴を塞ぎ、もう一方の鼻の穴に香料の入った小瓶を近づけ、腹式呼吸で大きく空気を吸い込み、香りを鼻の奥まで送り込むのです。アロマの香りを思いっきり吸い込む感じですね。
 
空気を吸いこんだら両方の鼻の穴を指で塞ぎ、息を止めて我慢します。少しいきむようにして耳にまで空気を通し、耳の内部も刺激します。(三浦さんは、この刺激が敬三さんの聴力を健全に保っていたと考えています)
 
その後手を離して口からゆっくりと息を吐き出します。
 
以前放送されたNHKの番組で、この「香り呼吸」を分析したところ、右脳の血流が増加していました。敬三さんが97歳の時に計った血流量は40代と同等と診断されています。
 
三浦さん自身は香りを使わず、「普通の」片鼻呼吸をしています。口を閉じて片側の鼻の穴を指で塞ぎ、一方の鼻だけで息を大きく吸って吐きだします。

片鼻呼吸法の効果 体内の酸素と一酸化窒素を増やす

三浦さんによると、この呼吸法は肺の周りの呼吸筋を鍛えられ、より多くの酸素を体に取り込めるようになるのだそうです。
 
80歳でエベレストに登頂できたのは、この片鼻呼吸が貢献したと考えています。
 
三浦さんは肌の新陳代謝がとても盛んなのだそうです。登山中に浴びた紫外線で強烈に日焼けし、皮膚がボロボロになっても二週間でほとんど元に戻ります。
 
この新陳代謝の良さも片鼻呼吸のおかげではないかとのこと。
 

 
浜松医科大学の高田明和名誉教授は、片鼻呼吸は物忘れや認知症を防ぐ、としています。
 
片鼻呼吸は嗅神経を通じて脳の扁桃核や海馬を刺激できるのです。
 
扁桃核は神経細胞の集まりで、刺激されると気分が落ち着きます。また海馬は記憶をつかさどる器官で、ここが活性化されると記憶力がアップします。
 
さらに、片鼻呼吸は体内の一酸化窒素の量を増やします。一酸化窒素は身体のいろいろな場所で作られています。鼻の粘膜でも作られていて、鼻呼吸をすると一酸化窒素の産生と吸収が促されるのです。
 
一酸化窒素というと毒物のようなイメージがありますが、実は血管の筋肉をリラックスさせて拡張させる作用を持っているのです。
 
鼻呼吸により吸収された一酸化窒素は毛細血管を通って脳に到達します。脳の血管が広がって血流量も増加し、脳が活性化されます。もちろん、脳以外の血管にも作用します。
 
さらに一酸化窒素には、体内に入ってきたウイルスや細菌を攻撃する働きもあるのです。三浦雄一郎さん、敬三さんもカゼをひきませんでした。
 

 
まとめると、片鼻呼吸には

・扁桃核や海馬を刺激
・一酸化窒素により脳の血流アップ
・高血圧や心臓病などの生活習慣病防止
・感染症の防止

 
と、いくつもの健康効果が期待できるのです。




片鼻呼吸法 高田明和教授のやり方 片方である意味は?

高田明和名誉教授の片鼻呼吸のやり方は次のとおりです。

・右の鼻の穴を指で押さえ、口を閉じて左の鼻の穴だけで多くゆっくり10回呼吸
 
・次に左の鼻の穴を押さえて同様に10回呼吸
 
これを朝起きた時に一日一セットやりましょう。

 
私は片鼻ではなく、鼻の両穴を広げての深呼吸はたまにやってました。ホント、てきめんに脳の血流が増えるのがわかります。
 
なので、ここまで書いて、ふと「両穴呼吸ではダメなのか?」と気付きました。
 
ちょっと調べてみたところ、片鼻呼吸はヨガの考え方であり、ちゃんとした意味があります。
 
こちらのサイトを参照させて頂きます。
ヨガの左鼻と右鼻の呼吸法 ◎無敗脳ヨガ道場◎
tinyurl.com/k2dyhg7

どうして、ヨガの呼吸法では、片鼻ずつ呼吸をするのかといいますと、それにはきちんとした理由があります。
 
伝統的には、左鼻から尾てい骨にかけて「イダ」と呼ばれる気の道(ナーディ)があるとされています。
 
この「イダ」に呼吸で気を通すと、沈静化させる作用があると言い伝えられています。「イダ」は、現代でいうところの副交感神経に近いイメージといえます。
 
一方、右鼻は「ピンガラ」と呼ばれ、活性化させる作用を持っていると言い伝えられています。こちらは、現代的には交感神経的なイメージですね。
 
ですので、左右交互に呼吸することで精神が安定するという経験論から導かれたヨガの理論です。現代的には、自律神経の調整といったところでしょうか。

上のサイトでは、「これらはあくまで経験則に基づいたヨガの教えであり、科学的には不明です」旨の記述がありますが、長い歴史を経て残っている考えなので、私としては信じるに足ると思っています。
 
脳も左右で働きが違うそうですし。
 
片鼻呼吸も習慣のひとつとして候補に挙げても良いのではないでしょうか。
 
対して、口呼吸は絶対にダメです。
口呼吸は「万病のもと」と言っても過言ではありません。