トマトは今でこそ最も一般的な野菜のひとつですが、食べられるようになるまでのハードルはかなり高かったようです。

このコンテンツでは、トマトが食用になった際のエピソードやトマトの栄養についてまとめています。


 

トマトには毒?食べるまでの騒動

トマトの原産地はペルーで、16世紀のアステカ王国では盛んに栽培されていました。 
 
欧州へは16世紀前半に伝わりましたが、当初は「毒がある」「媚薬ではないか」と噂がたち、食用ではありませんでした。食用として認定されたのは1778年からです。
 
アメリカのニュージャージー州では1820年、2000人の群集の前でトマトを食べたという陸軍大佐、ジョンソン氏のエピソードが残っています。
 
医師が「トマトは有毒なので大佐は発熱してたちどころに死ぬだろう」と予言しましたが、ジョンソン大佐は自宅の畑で育てたトマトを食べると宣言しました。
 
群集からは悲鳴が起こり、失神する女性も続出したそうです。
 

 
トマトの酸味は胃液の分泌を促し、消化を助ける働きがあるので暑さで食欲がないとき、あるいは胃腸が弱った時にトマトはおすすめです。
 
トマトにはビタミンC、脂肪の代謝を高めるビタミンB6、高血圧の予防に効果のあるカリウム、その他食物繊維も豊富に含まれています。
 
トマトの赤い色はリコピンという成分です。抗酸化作用が強く、老化防止、生活習慣病予防、美肌効果があります。リコピンは熱に強いのでトマトソースや煮込み料理などに加工しても効率よく摂取が可能です。
 
中国ではトマトは体を冷やす働きがあるので暑気あたり解消の食品とされています。




トマトケチャップのリコピン 米国の研究

アメリカ農務省の研究者が市販のトマトケチャップ13種類を調べたところ、赤の濃い製品ほどリコピン含有量が高いことがわかりました。
 
特にオーガニック野菜を原料とした製品は濃度が高く、1g当たりの含有量は183.36mgから59.42mgまでの幅があったと発表されています。
 
一方、ノンオーガニック製品は平均で100mg程度、ファストフード店のケチャップは60mg程度と同じケチャップでもかなり優劣がありました。
 
リコピンは抗酸化力が非常に強く、ビタミンEの100倍、ベータカロテンの2倍の抗酸化力を持つと言われています。
 

 
また細胞のガン化を防ぐ遺伝子を活性化させる機能を持ち、特に前立腺がんのリスクを減らすことがわかっています。心臓病の抑制にも効果を発揮します。
 
リコピンは油に溶けやすく、油とリコピンが合わさると体に吸収されやすくなります。またリコピンは熱に強いのでトマトを加熱調理してもリコピンの作用は損なわれません。
 
オリーブオイルとトマトをよく使うイタリア料理はリコピン摂取という観点からは非常に理にかなっています。
 
トマト消費量の多いギリシャは喫煙率が高いのですが、がん患者数は少ないことで知られています。これもトマトのリコピンがガン抑制効果を発揮しているからと考えられます。




トマトの脂肪燃焼・ダイエット効果

「トマトにはダイエット効果がある」とする研究結果が発表されました。
 
トマト、メタボ予防に効果=脂肪燃焼の新成分発見-京大
www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012021000126
(現在この記事は削除されています)
 
この件は大きな話題になり、スーパーなどの店頭からトマトやトマト製品が無くなっているそうです。
 
上の記事から、研究結果のポイントをまとめます。

■トマトには、血液中の脂肪増加を抑える成分が含まれている
 
■脂肪の燃焼を活性化させるこの成分は、リノール酸に似ている
 
■この物質を化学的に合成し、肥満マウスの餌に0.05%加えたところ、4週間で血液と肝臓の中性脂肪が約30%減少した
 
■同時に、脂肪燃焼に関わるたんぱく質やエネルギー代謝の向上も確認された
 
■血糖値も低下した
 
■人間の場合、毎食200ml のトマトジュースを飲むと同様の効果が得られる
 

 
私は食事の準備中にプチトマトを食べています。食前に野菜を食べて食事中の血糖値の急上昇を抑えるのがメインの狙いです。
 
カレーやパスタを作るのに、トマト缶もよく利用します。
 
現在話題になっているダイエット目的だけでなく、抗酸化物質やビタミンを摂取する目的でもトマトは優れています。
 
この機会に、トマトの摂取量を少し増やしてみてはいかがでしょうか。もちろん、一時的なブームではなく、習慣にしなくてはダメですが。