食道がんは、初期にははっきりした症状が感じられず、症状が表れた時には、がんが進行しているケースがほとんどです。
食道壁内側の粘膜に発生し、壁外側に向かって広がっていきます。(食道壁は粘膜、粘膜下層、筋層、外膜の4層からなっています)
がんが粘膜にとどまるもの、粘膜下層にとどまり、リンパ節転移がないものを早期がん、筋層より外側に達するもの、リンパ節転移があるものを進行がんといいます。
このコンテンツは食道がんについてまとめています。
食道がんの原因・熱い食べ物 初期症状は
スープやお茶などを熱いまま飲むと食道に負担がかかり食道がんのリスクが上がることがわかっています。
国立がんセンターがまとめた「がん予防のための12ヶ条」の中にも「熱い飲食物は最小限。例えば、熱い飲料は冷ましてから飲む」という項目があります。
伝統的に熱い食べ物をとる地域では食道がんが多発します。
「茶がゆ」を食べる関西地方では食道がんが多いことがわかっています。熱い「茶がゆ」をサラサラと流し込むように食べると、食道が火傷してしまい、粘膜の細胞が変質するのです。
熱いものを食べる時は、常温に戻してから口に入れましょう。
早期に見られる自覚症状で多いものを挙げます。
2 のどに何かある感じがする
3 胸の奥に不快感を感じる
4 胸の奥に圧迫感がある
5 食物が食道を通るのを感じる
6 ものが飲み込みにくい
7 食べ物が通るときしみる
1が最も多く、早期がん患者の約3分の1が自覚しています。
ただし、食道がんの症状ははっきり出ないため、いずれの自覚症状も「という気がする」程度です。
上のような症状がはっきりと自覚できるようになったら、進行がんまで症状が進んでいることが多いようです。
症状がさらに進行すると、食べ物がのどにつかえて通らなくなったり、飲み込んだものをすぐ吐く、胸が痛む、首のリンパ節が腫れる、声がかすれるといったことが起きます。
こうなる前の「はっきりしないけど怪しいかな?」という時点で消化器科を受診し、内視鏡検査を受けるなどしましょう。
仮に思い過ごしであっても、何も問題はありません。
ちなみにがん予防の心得として、先ほど紹介した日本版「がん予防のための12ヶ条」の他に、アメリカがん研究所が作成した、国際版「がん予防のための15ヶ条」があります。
日本の「12ヶ条」には「熱い食べ物」への警告が挙げられていますが、「15ヶ条」には熱い食べ物への注意は書かれていません。
熱いものを食べる習慣は、日本特有のものなのでしょうか?
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食道がんのリスク 下げる(上げる)もの 炭酸飲料と飲酒・喫煙
米エール大学の研究によると、炭酸飲料を多く飲む人は食道がんになりにくいそうです。
「米国立がん研究所報」06年1月4日号に発表されました。
同大学メイン教授の研究グループは1095人のがん患者と比較するため987人のデータ研究と聞き取り調査を行いました。
その結果、炭酸清涼飲料水をたくさん飲む人ほど食道がんになりにくいことが判明しました。もっとも多く飲む人で53%も食道がんになりにくいという例もあったのです。
う~ん、この理由は何なのでしょうか?因果関係がいまいちよくわかりません。炭酸が何らかの作用をしているのは間違いなさそうですが。
とはいえ、食道がんを防ぐために炭酸飲料を飲むのはどうかな?と思います。糖分を含んでいるのであれば肥満や糖尿病のリスクを上げてしまいますし。
もし習慣として飲むのであれば、糖分を含まない炭酸水が良いでしょう。
炭酸水は食道がんのリスクを下げると考えられる例ですが、リスクを上げる例もあります。
お酒に弱い人が飲酒と喫煙をすると食道がんのリスクが大幅に高くなってしまうそうです。
東京大学の中村祐輔教授と松田浩一助教授の研究チームが、食道がんの患者1070人と健康な人2832人を対象に行った調査で判明しました。
お酒を飲むと顔がすぐに赤くなる人はいわゆる「お酒に弱い」体質で、アルコールを分解する酵素の働きが弱いことがわかっています。
こうした「飲めない」人が1日に缶ビール1本以上の飲酒をし、かつ喫煙をすると、お酒に強く喫煙しない人に比べて食道がんになるリスクが190倍も高くなるのだそうです。
その理由はアセトアルデヒドにあるようです。アセトアルデヒドには発がん性があることがわかっています。
調査では、対象者の約55万か所におよぶ遺伝情報の違いが比較されました。その結果、
・アセトアルデヒドを分解する酵素
・アセトアルデヒドをアルコールから作る酵素
の二つが食道がんのリスクに関わっていることがわかったのです。
前者の酵素が弱いと、体内にいつまでもアセトアルデヒドが残って「お酒に弱い人」になり、後者の酵素が弱いと、気分が悪くなる前に飲みすぎるためにアセトアルデヒドが増えやすくなります。
実は、アセトアルデヒトはタバコの煙にも含まれています。
飲めない人がアルコールを飲むと体内のアセトアルデヒドの量が増えやすい上、さらにタバコまで吸うと煙のアセトアルデヒドまで吸収してしまうことになります。
このふたつのアセトアルデヒドの相乗効果で食道がんのリスクが大幅に上がってしまうと考えられています。
あまり飲めない体質の人で、飲酒・喫煙両方の習慣があるなら、食道がんのリスクはかなり高いといえるのではないでしょうか。
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